「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2020」に見る最新キーワード3つ。コロナ禍の影響も?
1年を代表するリノベーション作品を決める「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」。その授賞式が2020年12月10日に開催されました。この1年、新型コロナウイルス感染拡大が暮らしや経済を直撃し、リノベーション業界も多大な影響を受けました。そんな状況下にありながらも、今回の受賞作品からはリノベーションが持つ力、多様性を垣間見ることができました。注目作品とともに今年の傾向を紹介します。
【注目point1】コロナ禍の影響で、職と住の見直しが加速
日本中で人々の行動が制限されるという厄災下で開催されたリノベーション・オブ・ザ・イヤー2020。リノベーション業界でも住まいづくりの全ての過程で大きな制約を受けたため、盛り上がりが心配されましたが、エントリー作品は前年とほぼ同程度をキープし、さまざまな作品が出そろいました。 今回の大きな傾向は、何といっても「コロナ禍が住まいに及ぼした影響」。コロナ禍の影響を受けていない作品も多い中、リモートワーク、職住融合など、近年の潮流が一気に加速されたことで、審査の場では「リノベーションはいかにコロナ禍の影響を受け止めたのか」という観点で見ざるをえなかったそうです。 「毎日会社に出社する」という今まで当たり前だったことが、職場や職種によってそうではなくなりました。働き方改革の一環で以前からリモートワークを推進する企業は増えつつありましたが、半ば強制的に、暮らす場所と働く場所のボーダーレス化が一気に進んだ形となりました。それを最も象徴するのが、総合グランプリ受賞作品です。 職住融合のミニマルな形 総合グランプリ:『リモートワーカーの未来形。木立の中で働く。住まう。』株式会社フレッシュハウス 長年、別荘地で放置されていた60平米に満たない小さな家。オーナーは一人暮らしのプログラマーで、元は祖母の家でした。築50年という建物の耐震・断熱改修を行い、間取りの変更などを施して、自宅兼職場に。シンプルな空間に床の高低差でメリハリを付け、目線の位置を低く抑えることで、森の風景に入り込むような臨場感をもたらしています。 「リモートワークによる職住融合」というウィズコロナ時代のニューノーマルを示すだけではなく、郊外&地方移住、実家の空き家問題、古家の性能向上、お一人様社会といった、「今」を象徴するテーマや、問題解決の手法が詰まっていることが高く評価されて、総合グランプリ受賞となりました。 総合グランプリ受賞作のほかに、「ウィズコロナ時代」を象徴するのが次の作品。「職と住」を見直して、魅力ある場に仕立て上げている作品です。