『カムカム』金太役・甲本雅裕が語る「僕はこのシーンで絶対泣きませんから」のはずが…
最終回が目前に迫るNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。親子3世代・100年にわたる愛の物語は、どのような結末を迎えるのか。「 週刊文春 」はこれまで何度もカムカムについて報じてきた。最終回を控えた今、読み返したい記事を文春オンライン初公開する。文春でしか読めぬものがある――。(初出:週刊文春 2021年12月23日号 年齢・肩書き等は公開時のまま) 【画像】初代ヒロイン・安子とその家族 ◆ ◆ ◆
力みなく、自然体に。それがとても心地よくて
(こうもとまさひろ 1965年6月26日生まれ。岡山県出身。89年『東京サンシャインボーイズ』に。劇団休止後はテレビ、映画等に多数出演。名脇役として様々な役柄で活躍) 僕は、初代ヒロイン・安子の父で、和菓子店を営む橘金太を演じました。 岡山県出身なので、岡山が舞台の朝ドラに出られて純粋に嬉しかった。 撮影中は休憩時間でも、岡山弁で話していましたね。上白石萌音さんは勉強熱心で、岡山弁も完璧でした。 安子役の萌音ちゃんは、普段接するときも、本番中も親子のような雰囲気や空気を作り出してくれます。普通の家庭で、父と娘の間に存在する、照れのような微妙な感情まで表現してくれる女優さん。まるで本当の親子のような気持ちを抱いて仲良くなりました。 萌音ちゃん演じる安子が健気で一所懸命だからこそ、金太は娘の幸せを一番に考えたキャラクターになったと思って撮影に入りました。そんな発見をさせてくれたのは萌音ちゃんでした。 彼女のすごさは、力みなく、自然体のまま役に入り込むところでしょう。
「いつ、萌音から安子に変わったのかわからない」
いつ、萌音から安子に変わったのかわからないお芝居をされています。 でもカットがかかると、知らない間にプライベートへ戻っていてそれがとても心地よく、嘘偽りがない。 役者は職人のようなものなので技術の面はあると思いますが、彼女に関しては技術で芝居をしていたと言いたくない役者ですね。萌音ちゃんの人間性の素晴らしさが、にじみ出ていたと思います。 第4週の19回で、金太は濱田岳くんが演じた息子・算太の幻を見た後、亡くなりました。あの撮影前、「僕はこのシーンで絶対泣きませんから」と監督に話したけど、演じている途中で岳くんがグッときて泣きそうになっているのを見て涙があふれてしまった。 最近、観ることができるときは毎朝、放送をチェックしているんです。 「安子の娘のるい、これからどうなるんじゃあ? 安子は幸せにならんといけんでえ!」と金太は死んでからも、テレビの前で手に汗握りながら娘の萌音ちゃんと孫を見守っています。 『カムカム』雉真千吉役・段田安則が告白 上白石萌音に「疲れるだろう?」と聞いたら返ってきた驚きの答え へ続く
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年12月23日号