【解説】長期間体内にウイルスが残り続ける『持続感染』の脅威...一方で「ミルナイン」みれば事前にわかる「重症化予測」と「入院日数」
新型コロナウイルスに関する2つの研究結果が発表されました。一つは千葉大学病院などによる「重症化リスクがわかる”世界初”の発見」。もう一つは豊橋技術科学大学と岡山大学の「コロナは完治しない人が多い、ずっと感染が続く?」という内容です。感染症が専門の関西医科大学附属病院の宮下修行教授は「コロナにかかった人は体内に長期間ウイルスが存在し、10年後、20年後に“変な病気”を出してくる可能性があるかもしれない」と、いまだ実態が分からないコロナウイルスについて解説しました。 【写真を見る】「BA.5」に感染した人はどんな症状が多い?詳しく図解
コロナ重症患者の血栓に見つかった「ミルナイン」とは?
ーーコロナで亡くなったある重症患者さんの例です。肺の血管の壁が破れて、中の液体が漏れ出し、重症化しました。血管の壁を調べてみると、多くのコロナウイルスが確認されました。血管の中に血栓が確認されたのですが、その血栓に大量の「ミルナイン」という物質が見つかったという話です。ミルナインとはどういうものですか? (宮下修行教授) 「簡単に言いますと、血液の中には白血球と赤血球と血小板があり、血小板は血を止める役割で、これが多くありすぎると血栓ができてしまう。その血小板の中にミルナインというたんぱく質があると思ってください。血栓形成に関与するものです」 ーー130人のうち123人において「ミルナインの濃度が高いとコロナの重症度が高まり、入院日数が長くなる」そんなことまでわかったということですか? (宮下修行教授) 「そういうことですね。一番重要なポイントは何かというと、いわゆるこの人が重症化するのかどうなのかっていうことを見分けるためには、非常に有用なサイン、物質であるということは言えるかと思います」
ーー初めてミルナインという言葉を聞いて、自分の体の中にはどのぐらいあるのかっていうのは、我々一般市民は何か調べることができるのでしょうか? 「一般的には調べることはできません。特別な機械で調べます。昔からよく言われているのは血管炎、いわゆる全身の血管の炎症が起こるようなときに、こういうものが上がるということは、今まで報告されています」 ーーミルナインの濃度を下げられるんですか? 「正直言いまして、それはないと思います。人間っていうのは面白いもので、正常範囲から高くなると例えば血小板は血栓ができますし、低くなると出血しやすくなっちゃうわけですから、下げるというのもあまりよくないんですね」 ーーどういう人がミルナインが多いといった傾向はあるんですか? 「やっぱり炎症が強い方、特に血管の内皮細胞の障害が強い方ということですね。膠原病みたいな方はそういうふうになるとされます」