最新「ミニやクリオ」に挑む5年目 アウディA1 35 TFSIへ試乗 総合力で応えるコンパクト!
自然で正確なステアリング 乗り心地は明確に硬い
シャシーは、ポロより明らかにタイト。短いホイールベースの割に落ち着きがあり、安定性は高い。優れたグリップ力と相乗し、高速域でも不安感のない回頭性を得ている。 ステアリングホイールへ伝わる感触は薄めでも、反応は自然で正確。ミニは少し過敏だと感じるドライバーには、丁度良さそうだ。シャシーの能力が高いだけに、ダイレクト感や重み付けが増せば、運転を一層楽しめるように思う。 スポーツサスが組まれるSラインでは特に、カーブでのアンダーステアを見事に抑制。侵入時にアクセルペダルを一気に戻すと、ラインを内側へ絞れる。リア側が流れることはないが、予想以上にコーナリングへ関与していける。 基本的には安全指向。ギア比がロングなMTでは、トラクションを超えるパワーを展開できるわけではない。ショートなATの方が、ホットハッチのように意欲的に扱える。 大径ホイールを履くSラインの乗り心地は、上質なデザインへ不一致なほど硬め。プラットフォームを共有するポロは、ソフトなサスペンションで市街地でも快適性が高いのだが。高速道路では、風切り音やロードノイズも大きいと感じた。
総合力で応えてきたA1 強みは少なくない
燃費は、7速ATの35 TFSIで、今回の平均が19.5km/Lとカタログ値を超えた。高速道路を穏やかに流せば、21.0km/L前後へ伸びるはず。ガソリンタンクは40Lと大きくないが、満タンで約800km走れる計算だ。 ちなみに、25 TFSIのカタログ値は5速MTで18.5km/L。6速MTの30 TFSIは、18.2km/Lがうたわれる。 英国価格は、約2万2000ポンド(約429万円)から。35 TFSIで望ましいオプションを選ぶと、3万ポンド(約585万円)を超える可能性がある。 ミニではポップ過ぎ、ポロではベーシック過ぎると感じるユーザーへ、総合力で応えてきたA1。2024年にも、低くない訴求力がある。高効率なエンジンに上質なインテリア、落ち着いたシャシーなど、強みは少なくない。 確かにSラインの場合、乗り心地は褒めにくい。内装を観察し始めると、安っぽいプラスティックが見えてくる。MTはギア比が長すぎ、滑らかに回るエンジンも、もう少しパワーが欲しいところではある。さらに、最新のクーパー Cの競争力は高い。 それでもA1は、まだこのクラスの実力派。新型ではないが、クリオや500をお考えなら、検討候補に加えてみてはいかがだろう。 ◯:洗練され燃費の良いパワートレイン 表示が美しく反応の良いタッチモニター アウディらしい高級感のあるインテリア △:ベースグレードの内装は少々物足りない ロードノイズが大きい 乗り心地の良くないサスペンション
アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)のスペック
英国価格:2万7000ポンド(約527万円) 全長:4029mm 全幅:1740mm 全高:1409mm 最高速度:223km/h 0-100km/h加速:7.8秒 燃費:17.0km/L CO2排出量:120g/km 車両重量:1170kg パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:150ps 最大トルク:25.3kg-m ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
マット・ソーンダース(執筆) ジョナサン・ブライス(執筆) 中嶋健治(翻訳)