角田陽一郎×般若(ラッパー)「『鬼滅の刃 無限列車編』は正直ベスト3に入れたいくらい」
『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。 【画像】般若の人生を動かした映画 長編ドキュメンタリー映画『その男、東京につき』が公開中のラッパーの般若(はんにゃ)さんを直撃! * * * ――好きな映画はなんでしょうか? 般若 好きな作品を聞かれたときに必ずベスト3に入れるのは『ブラック・レイン』(1989年)。俳優の中で松田優作さんが一番好きなんですけど、この作品で演じている佐藤が振り返ったときの表情がめちゃめちゃカッコいいんですよ。 何かが乗り移っているようで。初めて見たときは俺もまだ子供だったんですけど、「こんな人いるの?」って衝撃で。 ――般若さんのパフォーマンスに通ずるエピソードですよね。 般若 俺も、ライブやってるときに「憑依(ひょうい)型」みたいなこと言われるんですけど、実際あんま記憶ないときとかあるんですよ。 ――ドキュメンタリー映画『その男、東京につき』を拝見しました。どうですか、人生が映画になるのは。 般若 あんまり実感がないすね。「俺のことをドキュメンタリーにして面白いのか?」って......。つくってから言うなって感じなんですけど(笑)。 ――いえ、面白かったですよ。恥ずかしい気持ちもあるんですか? 般若 それももちろんあります。
――パフォーマンスのときとは違うんですね。 般若 そうっすね。気持ちがスイッチすれば大丈夫ですけど。ライブはある意味やりっ放しだし。その点、ドキュメンタリーはMVともまた違うので。それに俺って成功したって感じでもないじゃないですか。成功したとも思ってないし。 どっちかっつーと、若いやつはこれを見て、「あ、こういうとこはマネしないほうがいいな」って思うんじゃないかって(笑)。そういう感じで見てもらえたらいいのかなって思いますね。 ――僕的には、般若さんの周りの人の話が面白かったです。人間関係の深さを感じてうらやましくて。 般若 逆に俺からすると、「そんなことよく覚えてるな」「それ、あんま言うんじゃねえ」ってこともありましたけど。 ――この映画で伝えたいことは? 般若 ずっと言ってることではあるんですけど、この映画でも小さい頃に受けてたイジメのことを話してて。今、イジメとか誹謗(ひぼう)中傷で死を選んでしまう子供たちがいるけど、絶対死ぬなよ、その時間永遠じゃねえからって言いたいですね。ほんと大丈夫だから大人になったら。 俺全然モテてるし、ラップなんかやれば誰でもモテるようになるし、ヤれるし、セックスは気持ちいいし。もうバッチリだから、大丈夫だぜって。 ――この映画は悩んでる子供たちの生きる希望になると思います。僕でもなりました、おっさんですけど。 般若 でも、公開日がクリスマスなんですけど、「カップルでは行くなよ」とは言ってます。これ見て別れたら責任取れねえし。それに俺、クリスマスに舞台挨拶とかもしないし。そんな日にやるほど無法者じゃないぜって。大切な人と過ごしてくれよって(笑)。 ――(笑)。現在、話題沸騰の『鬼滅の刃 無限列車編』とも公開時期がかぶりますよね? 般若 正直(自分の映画ランキングの)ベスト3に入れたいくらいっすよ。響くんすよね、煉獄(杏寿郎)の言葉が。周りは俺含めクズしかいなかったから、あんな先輩が欲しかったなって(笑)。 ★後編⇒角田陽一郎×般若(ラッパー)「犬が出てくる映画を見ると、なんの恥ずかしげもなく泣いちゃう」 ●般若(はんにゃ)1978年生まれ、東京都世田谷区三軒茶屋出身。ヒップホップMC。『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)にラスボスとして出演。2019年1月11日、日本武道館で初のワンマンライブ「おはよう武道館」を開催 ■『その男、東京につき』全国公開中 構成/テクモトテク 撮影/山上徳幸