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スカウトらが明かす「プロ野球ドラフトはコロナでこんなに変わる」

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2020年、野球界ではコロナ禍により、多くの大会が中止され、リーグ戦の試合数も減少された。10月26日に開かれるドラフト会議はいったいどうなるのだろうか? まずは、指名をする側=プロ球団の事情を探ってみよう。 【写真】プロのスカウトが注目する今秋ドラフトの目玉 超高校級「金の卵」 ◆採用枠は「30人減」 「難しいですよ、今年は。プレッシャーもハンパない。選手を見る機会がほとんどなかったわけですから。毎年7月までに北海道から沖縄まで、ドラフト5位レベルの選手60人はすべて見てきたのですが、それができていません。 大会は開かれないし、“stay home”下で出張に行くのもはばかられる状況でした。練習に取り組む姿勢なども評価にかかわってきますので、いつもは練習も見に行くのですが、それもできない」 そう嘆くのはプロ野球某球団のスカウトである。 スカウトの判断材料が少なすぎることだけでなく、コロナによってプロ各球団の業績が大きく悪化していることも、ドラフトに大きな影響を与えている。 「球団の収入の大きな柱は入場料です。しかし、試合数減、無観客、5000人までの入場者制限などの措置により、各球団の収入は大きく減っています。 その影響で今年の指名は3~4人という球団が多いのではないでしょうか。 一方で育成指名は増えるかもしれません。金額的に少ないリスク(最低年俸240万円・支度金300万円)で獲れるわけですから。例年なら4位5位指名の選手でも、今年は育成になるかもしれません。 また、『未知数の部分が多いドラフト候補よりも、今いる選手をしっかり育てたい』と考える球団も多い。クビ、つまり戦力外通告を受ける選手も減る可能性があります」(プロ球団編成部関係者) この通りだと、例年各球団6名程度指名するので、プロ入りする選手は20~30人ほど減ることになる。また、ポジションの偏りも出てくる可能性があるという。 「高校生野手の指名は減るでしょうね。たとえば2年前の根尾昴(大阪桐蔭→中日)、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)、小園海斗(報徳学園→広島)のような超高校級と言われた野手でも、すぐにプロの1軍枠に入るのはなかなか難しいわけです。『高校生野手は3~4年後に獲得してもいい』というのが本音ですよ」(前出・スカウト) ◆急成長した選手をチェックできていない 少ない機会の中で、スカウトはどのような視点で指名選手を決めるのだろうか。 「一番重きを置くのは、2019年秋までの成績。直近の1~2試合を見るときも“秋に見ていた選手の上積み”を見ることに重点を置くところが多いでしょう。 秋にはそこまでではなかった選手が、一冬を越えて一気にブレイクする、ということも多いのですが、今年はそこがわからないので」(同スカウト) 例えば、現在広島でローテーション投手として活躍しているプロ3年目の遠藤淳志投手は、茨城・霞ヶ浦高校2年時は控えだったが、冬を越えて一気にブレイクし、プロ入りにこぎつけた。つまり、2020年に入って急激に成長した選手は、指名の可能性が低くなってしまうということだ。 先日甲子園で開かれた交流試合(センバツ出場予定だった32校が一試合ずつ試合を行った)も大事なチェックの場だったのだが……。 「『各球団で2人までしか入れない』といった入場制限がありました。試合をする学校の地区を担当するスカウトと統括部長しか直接は見られなかった。ほかのスカウトはテレビでチェックしました。 夏の甲子園は何人もの目で直接見て確認するのが基本ですが、それができなかった。今年のドラフトは編成部長やスカウト部長など、責任者の眼力が試されるドラフトになります」(同スカウト) 毎年、ドラフト会場で大きく盛り上がるのが、全国的な知名度の低い選手の上位指名。しかし、いまの状況を考えると、有名選手への無難な指名が増えるのが人間の心理というものだろう。前出のスカウトも「重複指名は多くなるだろう」と話した。 ◆名門校ほどプロ入り回避!? 指名枠の削減、有名選手への人気集中、スカウトにアピールできる場の減少……。アマチュア球界はどのような状況に置かれているのか? 「高校野球界では名門校ほどプロ入りに慎重になっています。やはり名門校はさまざまなネットワークから情報が入ってきますから、今年のドラフトが厳しいことはわかっているのです。 大学のスポーツ推薦枠や社会人の内定は3月~4月に9割方決まります。プロ入りを捨て、その枠をいち早く確実に獲ろうという動きがかなり見られました。 例えば常総学院(茨城)には菊池竜雅、一條力真という二人のプロ注目投手がいましたが、早い段階で大学進学を決めました。 常総は昨年、“和製バレンティン”と呼ばれた菊田拡和(内野手)が巨人から3位で指名を受けています。学校側は彼がスカウトの目に触れる機会を増やそうと、練習試合にも積極的に出して、上位指名につなげました。しかし今年は、そのような機会があまりに少ないので大学進学を勧めたといいます」(高野連関係者) 高校生では、中京大中京(愛知)の高橋宏斗投手、明石商(兵庫)の中森俊介投手・来田涼斗外野手らが注目されているが、いずれもプロ志望届を提出していない。 「例年ならプロ一本で勝負できる素材ですが、高橋と中森は大学、来田は社会人入りも考えているようです」(スポーツ紙記者) ◆たった一日の舞台にプロ入りを賭ける高校球児 高橋や中森のようなトップの選手は進路に悩む中、その進路先である大学・社会人も状況は甘くない。 「大学側も高校生を見に行けないので、選手獲得には慎重になっています。よほどの選手じゃないとスポーツ推薦に入れません。門戸は狭くなっていますね。その分、人的なつながりがある名門高校は有利です。 社会人でも、例年有望選手はドラフトの結果まで内定を待つことがありましたが、今年はそうではありません。今年はプロ待ちしての入社はないところがほとんどです。 また、野球部の採用枠自体を減らした会社も多い。特にセガサミーなどアミューズメント系の企業はコロナの影響が大きく、野球部の規模を縮小する動きも出てきています」(私立高校野球部関係者) 進学・就職・プロ入り、どれも難しい状況の中、選手たちは難しい選択を迫られている。 「大学生の中では独立リーグを目指す選手が増えています。1年や2年など時間を区切ってプロ入りのチャンスを狙っているようです。昨年までは社会人でプレーしたような有望な大学生が入るので、2021年の独立リーグはかなり面白くなると思います。 高校生たちの中には、プロ志望届を提出し、8月29日の『合同練習会』に参加する動きも多いです。例年なら指名があるレベルの選手、スカウトの目に触れる機会がなく、この一日の一発勝負に賭けている選手も参加しています。 一方で、野球を続けることをあきらめ、一般受験や就職活動に切り替えた選手が多くいるのも事実です」(前出:スポーツ紙記者) 夢があっても実力があっても、野球を続けられない選手たちがいる。一刻も早いコロナの終息を願うばかりである。

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