JAL赤坂社長「22年度末までに復配目指す」3期ぶり黒字化へ=株主総会
日本航空(JAL/JL、9201)は6月21日、第73期株主総会を東京・有明の東京ガーデンシアターで開催し、株主総会資料の電子提供制度の導入などの定款変更など3議案を可決して閉会した。総会で議長を務めた赤坂祐二社長は株主に対し、2022年3月期は2期連続で最終赤字・無配となったことを詫び、現在の2023年3月期(22年度)は3期ぶりの黒字化を目指すとした。 赤坂社長は冒頭で、2期連続の最終赤字となったことを陳謝。財務体質の再構築を最優先とし配当を2期連続で見送る、と述べた。2023年3月期のEBIT(利払い・税引き前損益)は、新型コロナウイルス流行前の2019年度と同等の水準となる800億円の黒字を目指し、「2022年度末までに復配を目指す」と誓った。 今後はJALによるFSC(フルサービス航空会社)事業と貨物・郵便事業、ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)やスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)などLCC(低コスト航空会社)事業に加え、マイル・ライフ・インフラ事業を成長分野と位置付ける。マイル事業などで航空の強みを生かした航空分野以外の収益拡大を目指すほか、JALUX(ジャルックス)を3月に子会社化したことにより、物販事業も強化する。 会場を訪れた株主は530人で、昨年よりも131人増加。所要時間は昨年よりも1分短い1時間53分で、質問者は昨年から1人増え12人だった。退場者は2年連続でいなかった。 質問は冒頭の4人中3人が2010年1月19日に経営破綻した際に生じた整理解雇についてだった。JALは当時、国の企業再生支援機構から支援を受けるにあたり、事業規模を破綻前の3割に縮小し、希望退職や早期退職、整理解雇により全体の3分の1に相当する1万6000人の従業員を削減した。このうち、整理解雇はパイロット81人と客室乗務員84人の計165人だった。 JALは、破綻時に会社を去った人を対象に、再雇用する経験者採用制度を2018年から導入。整理解雇者11人を含む約100人を再雇用したと説明し、重ねて理解を求めた。解雇者側が起こした訴訟も、最高裁で整理解雇の有効性が確定していることに改めて言及した。 赤坂社長と人材担当の小枝直仁・人財本部長は株主に対し、例年通りに説明すると、多くの株主が拍手した。また赤坂社長が株主に対し「整理解雇以外の質問もぜひ」と促すと、それ以降は他社との提携や、開通を控えるリニア新幹線への対応など、整理解雇の質問は一切出なくなった。 質疑応答後の議案採決では、会社法の一部改正により9月1日に施行される改正規定で導入する、株主総会資料の電子提供制度に関する定款の一部変更のほか、取締役9人と監査役1人を選任する議案を原案通り可決した。取締役は社外取締役3人を含む9人全員が再任で、監査役は任期満了となった社外監査役の久保伸介氏が再任となった。 このほか、ある株主から役員報酬を自主返納するよう求める動議があったが、取締役9人が選任されたため否決された。前日の20日に開催されたANAホールディングス(ANAHD、9202)の株主総会でも、今回と同じ人物とみられる株主から同様の意見があったが、ANAHDの芝田浩二社長は「基本報酬は減額し、賞与はなし」と説明するに留めている。
Yusuke KOHASE