日本でスマホは“必要家電”なのに…バッテリーとOSが海外頼みという脆弱さ(多賀一晃/生活家電.com)
【家電のことはオイラに聞いて!】#77 日本は歪な国だ。年々、実世帯収入は減るのに、高価なスマートフォン(以下スマホ)を持つのが当たり前になっている。例えば青色申告。国税局がスマホ申告を推奨していることには驚かされる。国民全員がスマホを持っているのが当たり前なのだ。もしそうだとしたらスマホ代金とキャリアーの通信料は高過ぎないか? 【写真】ペットブームでアクアの布団掃除機が再注目! 2020年の東京都最低生計費試算調査結果によると、東京都北区在住の若者が普通の暮らしを送るためには、男性で月額24万9642円、女性で24万6362円が必要だ。北区は東京23区の中では、住宅費が安いため、この結果は地方でも使えるという。 では、どんな家電が最低生活に必要かというと、温水洗浄便座、電子・ガスレンジ、自動炊飯器、電気冷蔵庫、電気掃除機、電気洗濯機、ガステーブル、トースター、電気アイロン、ミシン、ルームエアコン、加湿器、扇風機。電球、蛍光灯のLED、非LEDが挙げられている。贅沢品か否か論じられてきた「エアコン」も最低限家電だ。 教育娯楽家電ではテレビ、レコーダー、デジカメ、パソコン(ノート)、テレビゲーム機など。その他、理美容家電としてヘアドライヤーなど。ツッコミどころは多々あるとはいえ、日本では最低限の生活に25種類の家電が認められる。 通信費は4人家族前提で1万8000円前後。個人スマホは公認された存在だ。 しかし最近、アメリカでは個人スマホの公共的な使用が厳しくなっているそうだ。そのためアメリカで赤字を解消、黒字化したメーカーもある。「ポケトーク」である。ポケトークは 世界74言語以上に対応した、名刺サイズの超小型通訳デバイスのこと。最大の特徴は、スマホのアプリではなく、独立したデバイスであることだ。移民の国であり、自由・平等を掲げるアメリカは、いろいろな場面で格差が問われる。たとえば学校。日本ならスマホ禁止でも、授業中身につけていることは許されたりする。しかしアメリカでは、原則、ロッカーに全部入れさせられ、下校まで持ち出し禁止。学校内で使うデバイスは学校が用意する。 ■日本ではまったく受けず… 2017年、鳴り物入りで登場したポケトークは、スマホアプリではなく、デバイスに力を入れた。当然日本では受けなかった。登場から数年、名前を聞くことはなかったが、今アメリカで、数百、数千台単位でどんどん契約が増えているという。 一方日本は、スマホを生活に必要な家電と認めている。しかし国産スマホはほとんど存在せず、海外メーカーばかり。しかも安いとされた中国メーカー品は、アメリカ製のOSが使えない状態に追い込まれつつある。そういう目で見ると、日本がいかに脆弱な基盤の上にいるのか分かる。特にキーになるバッテリーとOSは海外頼みだ。 大掃除の時期。部屋を片付けるとともに、自分の“基盤”の棚卸しもした方がいいかもしれない。 (多賀一晃/生活家電.com主宰)