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世界最古の映画をAIで復活! YouTuberがプロジェクトを牽引

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リアルサウンド

 最新テクノロジーであるAIを駆使し、世界最古の映画を復活するプロジェクトがYouTuberのもとで立ち上がった。  そのYouTuberの名は、デニス・シリヤエフ(Denis Shiryaev)。自身のYouTubeチャンネルを開設し、AIによりカラー化・補正された作品の数々をアップロードしている。  シリヤエフ氏によって再現されたその映画とは、フランスの発明家ルイ・ル・プランス氏が監督を務め、1888年10月14日に公開された短編無声映画『ラウンドヘイの庭の場面』だ。英国リーズ周辺のウィットレイ家の庭にてプランス氏の義理の両親とその息子を含む4名が楽しそうに戯れる様子を撮影したものであり、現存する世界最古の映画としてギネス世界記録にも認定されている。  シリヤエフ氏は事前に英国のサイエンス・ミュージアムによる許可を得たうえで、古めかしい映像技術と最新のニューラルネットワークとの融合を通じて、オリジナル版のフレームの刷新を試みた。  シリヤエフ氏が独自に開発したニューラルネットワークは、追加のフレームを人工的に生成するよう、スローモーション動画で学習済みである。よって、単位時間あたりのフレーム処理に関して、毎秒14コマから毎秒60コマまでアップグレード可能である。元々は20コマのみによって構成されていた映画も、AIアルゴリズムにより適宜穴埋めしつつ250コマまで増大し、さらにカラー化することで、映像によりリアルさが醸し出される。  その他にも、1896年のモスクワのトベルスカヤ通り、1890年後半のフランス・パリ、1911年のニューヨーク、普通選挙法の実現によって民主主義が高揚し、大正デモクラシーと謳われた1913年から1915年の東京など、世界の主要都市の昔をカラーで鮮明に再現した映像をYouTubeのチャンネルにアップロードしている。さらに、「映画の父」とも称されるフランスの映画発明家のリュミエール兄弟がラ・シオタの駅に降り立った時、1972年4月21日に人類として5度目の月面着陸に成功した時などの映像も再現しており、これまで教科書でしか触れることのなかった歴史的名場面の1コマを映像とともに振り返ることができる。  日本国内でも、AIでカラー化した写真で当時の広島を再現する”記憶の解凍”プロジェクトが東京大学大学院情報学環・学際情報学部の渡邉英徳研究室内に発足しており、原爆の記憶を風化させないための取り組みがなされている。渡邉教授は75年前に尾木正己氏が広島県呉市の海軍工廠実験部から撮影したきのこ雲の写真をニューラルネットワークでカラー化・補正。原爆が広島に投下された8月6日、補正されたその写真をTwitterに投稿した。  渡邉研究室では広島県立文書館や広島市公文書館、浄寶寺など、団体・個人を問わず、多くの方による協力を得て、数百枚の白黒写真を独自のAI技術でカラー化・補正している。これまでに手がけた写真については、渡邉教授のYouTubeチャンネルにて公開されている。  今後、決して風化させてはならない出来事を未来に伝えていくうえで、AIが優位性を発揮していくことだろう。

大澤法子

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