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「最初の大いなる愛」を蘇らせる│あるポルシェ911Sと一人の男のストーリー

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ホルヘ・カルニチェロは、ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチュアのサポートにより、素晴らしい彼のポルシェへの愛の記憶をよみがえらせた。 オーダーメイドで作られたポルシェ911GT3 ツーリング(写真13点) 1971年に感じた、彼の「最初の大いなる愛」。どのように出会ったかについて話すとき、彼の顔には笑顔が輝く。しかしすぐに、「私は人生で最大のミスを犯しました」と彼はいう。シルバーメタリックの1971年 911S と出会い、ひと目で恋に落ちたカル二チェロ。しばらくその911Sに乗っていたが、何を心変わりしたのか新型911に乗り換えてしまった。何故あんなにも愛した車を簡単に手放してしまったのかと、68歳になっても彼は後悔しているのだ。「失って初めて自分がとんでもない過ちを犯してしまったことに気付きました。あのシルバーのポルシェ 911Sをどうにかして取り戻せないかと、何度焦がれたことでしょう。永遠に忘れられない、ほろ苦い初恋です」。 カルニチェロは、911Sのリアサイドウィンドウに貼られていた『Porsche Markenweltmeister 69、70、71(ポルシェ世界メーカー選手権 69、70、71年)』と記されたステッカーを今でも思い出すという。彼はドイツ語ができるわけでも、モータースポーツに興味があったわけでもなかったため、ステッカーの意味も分からなかったが、それがスポーツカー選手権チャンピオンの意味だと分かった瞬間、新しい世界の扉が開かれた気がしたという。「911Sにはぞっこんでしたが、 “スポーツカー選手権3年連続優勝” などといわれたら、たまりませんよ」 初恋を手放してしまったカルニチェロは、ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチュアのサポートを受けながら、理想に近いポルシェを購入してきた。しかし、彼によって本当の理想の相手と出会うのは、あの日から50年近く経ったときのことだった。

911GT3ツーリングをカスタム

彼の新しい “恋人” となるポルシェ911GT3 ツーリングを完成させることは大きなプロジェクトとなり、1年を要した。カルニチェロは北米のポルシェ本拠地があるアトランタに10回以上足を運び、様々な色を比較し、布の材質にいたるまでこだわり抜いた。「私は細かい所まで気になる性質なのです。担当のスタッフに嫌がられているでしょうね」。レザー貼りのセンターコンソールには、初恋のサイドウィンドウに貼ってあったステッカーと同じく “Porsche Markenweltmeister 69、70、71” の文字がエンボス加工されている。カルニチェロにとって、このようなディテールこそにカスタマイズの意味があるなのだ。 「友人から『たかが車じゃないか』といわれる度に『何も分かってないな』と思いました。芸術作品の背景にあるストーリーを読み解くことで、これまでとは全く違う世界が目の前に広がっていくのです。芸術とは、深く理解すればするほど、情熱も大きくなっていくものなのです。ですから、それを実現してくれたポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチュアのスタッフにはとても感謝しています。新しい世界への扉を次から次へと開いてくれたのですから」。 スタッフと話し合いを重ね、カルニチェロが描いた理想とエンジニアリングを極限まで詰め込んだ911GT3 ツーリングはただ美しいだけではなく、彼がこれまで歩んできた歴史の一部といえる。カルニチェロは、航空工学のエンジニアであった父親から「物の本当の価値を理解したいなら、そのデザインと技術を徹底的に調べなければならない」と教わってきた。「今は何でも大量生産する時代ですから、モノに対して感情を持つという観念自体、理解されないかもしれません。今回、ポルシェ・エクスクルーシブマニュファクチュアと理想のスポーツカーを作り上げる過程で、ハンドクラフトの素晴らしさを改めて認識しました」。 色については悩んだ末に2017年製 911の市販モデルで採用された “アイリッシュグリーン” に近い色にすることにした。「実は一番好きな色は青で、緑はそれほど好きではないのですが、今回のプロジェクトでは自分の固定概念を一旦取り払い、 オープンな姿勢で臨もうと考えていました。ポルシェのスタッフであるトム・ニールのアドバイスを聞いた時は驚きましたが、素直に受け入れることができましたね」。こうして、彼のGT3は特別色のブリティッシュ・レーシンググリーンに決定された。インテリアにはエスプレッソ色のレザーにブラックが差し色として使われ、コントラストを効かせたステッチにはベージュといった具合にカルニチェロが描いていた理想が具現化していった。 そしてその数週間後、ついに完成した夢のGT3 ツーリングは、大西洋を渡ってアトランタへ。「想像していたよりも、ずっと美しい911でした」。自分のポルシェ・コレクションは娘と息子に受け継いでもらいたいと考えているそうだ。

Octane Japan 編集部

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