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熊本大学、高強度マグネ合金の強靱化に成功。従来比1.5倍、航空機への実装化に前進

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鉄鋼新聞

 熊本大学はこのほど、KUMADAIマグネシウム合金の強靭化に成功したと発表した。KUMADAI急冷耐熱マグネシウム合金の製造プロセス条件と合金成分の最適化によるナノ組織制御によって従来よりも約1・5倍の強靭化に成功し、高い破壊靭性値と高い比降伏強さの両立を実現した。航空機用高強度アルミ合金に匹敵する破壊靭性と、最大15%程度の軽量化が可能な機械的強さを持つ合金を開発したことで、航空機への実装化に大きく前進した。  マグネシウム金属は実用金属の中で最も軽く、航空機や自動車などの輸送機器の軽量化を担う素材として注目をされており、2015年に米国の連邦航空局(FAA)が民間航空機のマグネシウム使用禁止令を解除したことから航空機分野での適用が期待されている。熊本大学の先進マグネシウム国際研究センターは、高強度と高耐熱性と難燃性を併せ持つ「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」を開発し、FAAのマグネシウム燃焼試験に合格。これを受けて新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代構造部材創製・加工技術開発」プロジェクトでは三菱重工業と共同で研究開発を進めてきた。  高強度マグネシウム合金の開発をめぐっては、従来は航空機用高強度アルミ合金に比べて軽さと強さを表わす比降伏強さが約5割、破壊靭性値が約1割低かったため航空機用構造材料としては問題があった。また熊本大学の超急冷法を用いて作製したKUMADAI急冷耐熱マグネシウム合金は、既存の航空機用高強度アルミニウム合金に比べて、比降伏強さが5割以上高い一方で破壊靭性は従来のマグネシウム合金並みに低かったため航空機用としては対応が困難だった。そうした中、熊本大学はKUMADAI急冷耐熱マグネシウム合金の製造プロセス条件と合金成分の最適化によるナノ組織制御によって約1・5倍の強靭化に成功し、破壊靭性値「20・5MPa√m」、比降伏強さ「220kNm/kg」の両立を可能にした。  今後は、さらなる高強度化と強靭化ならびに不燃化を図るとともに、具体的な航空機部品の試作とその評価をボーイング社などの国内外の航空機メーカーと共同で進めていく計画。これと併行して、素材の低コスト・量産技術の開発を素材メーカと進め、マグネシウム合金の航空機実装化を推進していく考え。