頭のいい子が幼少期に身につける“勉強以外”の習慣とは?小児科医がオススメする「脳の鍛え方」
受験期の子どもが勉強そっちのけで夜遅くまでスマホに夢中になっている状況に危機感を持つ保護者も多いだろう。小児科医の成田奈緒子氏は、脳の成長のためには、勉強時間だけでなく、子どもの「からだの脳」を意識して育むことも重要だと話す。脳の土台となる「からだの脳」育ての方法とは?※本稿は、成田奈緒子『中学受験の落とし穴――受験する前に知っておきたいこと』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 生命維持装置「からだの脳」を 意識して真剣に育てていますか? 子どもの脳には、育てられるべき順番があります。最初にきちんと育てられるべきなのが、「からだの脳」です。これは寝ること、起きること、食べること、そして身体をうまく動かすことを司る、生きるために不可欠な脳です。主に大脳辺縁系、視床、視床下部などの間脳や、中脳、橋、延髄などの脳幹部を指します。 生後5年間で育つ「からだの脳」は、いわば生命維持装置。生きるために不可欠ゆえ、放っておいても必ず育ちます。どんな育て方をしても、「からだの脳」が育たない子どもはいません。生きている限り、寝る・起きる・食べるは誰にでもできるように人間はできている。だからこそ、「より良い『からだの脳』を育てなくては!」と考えて取り組む親御さんは少ないのです。ここが現代の子育ての問題だと私は考えます。 本来電気や便利な道具のない時代であれば、この「原始人の脳」は自然によく育ちます。でも、夜も明るく便利になった現代では、「意識して真剣に」育てなければ、良い「からだの脳」は育ちません。
生後まもなくの赤ん坊は睡眠・食欲・身体の動きをコントロールできず、寝たり起きたりをランダムに繰り返していますが、1歳ごろになると朝目覚め、夜眠り、起きている間に姿勢を維持してからだを動かすようになります。5歳くらいまでには、どんな子でも、夜は寝て、朝は起き、1日3回は食事をする、という生活のリズムが自然とできてくる。 そこで親は安心してしまうのですが、実際には、親が無理やり起こしているから起きるのであって自ら目が覚めていなかったり、「早く寝ようね」と必死に寝かしつけているから寝ているだけで、自分から眠りについているわけではなかったりしませんか。食事にしても、親の生活時間に合わせて「ご飯の時間だよ。さあ食べて」と食べさせているだけで、「お腹すいた、食べたい」と思って食べていなかったりします。そこが問題です。 「原始人の脳」すなわち「からだの脳」を育てるときに大事なのは、本当にその子自身が自発的に、お腹がすいたり、眠くなったり、シャキッと目が覚めるような脳になっているのかという点です。