自民の田畑裕明・衆院議員、実在しない人物ら262人を党員登録…党費は父親ら親族が支払う
自民党の田畑裕明衆院議員(富山1区)が不適切な党員登録をしていた問題で、田畑氏は29日、富山市内で記者会見を開き、本人の了解を得ずに登録したり、実在しなかったりする党員の党費は、父親ら親族が支払っていたと説明した。こうした党員は262人に上り、管理している党員の約4割を占めた。自身の関与や違法性は重ねて否定した。 【図解】一目でわかる…田畑裕明氏を巡る「不適切党員登録」の構図
2015年頃から発生
田畑氏によると、不適切な党員登録は遅くとも2015年頃から発生していた。田畑氏の親族が、旧知にしていた会社関係者から従業員の名前などを知らされ、本人の了解を得ない状態で登録を始めた。この会社に関連する登録は206人で、実在しない人もいた。
田畑氏は前回(18日)の記者会見で「特定の1事業所で発生している」と説明したが、同様の構図は別の会社でも33人確認された。この会社には、秘書が「党員を増やすため」と依頼して社員名簿の提供を受けたが、党員登録するとは伝えていなかった。会社関連以外にも、個人で勝手に登録された人が23人いた。
親族が当初、肩代わりしていた党費は年間約60万円で、20年に親族が死去した後は、田畑氏の父親が支払いを引き継いだ。親族が党員の党費を負担していることは田畑氏も認識していたが、その党員に入党意思がないとは気づかなかったという。
「深くおわび」
この日の記者会見で、田畑氏は「自民党や支援していただいている方々に多大な心配をかけたことを深くおわび申し上げる」と陳謝し、「管理のずさんさによって政治不信を招いた」として、党国会対策副委員長を辞任した。不適切な党員登録については「入党意思が確認できておらず、党員資格はそもそも無効」と語り、抹消する考えを示した。
田畑氏は10月初旬、入党した覚えがないのに党総裁選の投票用紙が届いた企業社長から問い合わせを受け、「企業献金を党費に充てている」と語った。だが、自身が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書(20~23年分)では「党費」の支出がなく、政治資金規正法違反(不記載)の疑いも指摘されていた。
田畑氏は、企業社長とのやりとりについて、衆院選での党公認獲得などを巡って「落ち着いて臨む環境ではなかった」と振り返った。事実と異なる口裏合わせを求めたことは「社長とは旧知の仲で『何とか穏便に済ませないか』と相談した。甘えもあった」と語った。