円は対ドルで6月以来の長期連続安、日銀利上げ見送り観測強まる
(ブルームバーグ): 円は対ドルで6月以来の長期連続安となる見通しだ。背景には、日本銀行が来週の金融政策会合で、利上げを見送るとの観測が強まっていることがある。
13日の取引では、円は一時、0.8%安の1ドル=153円80銭まで売られ、日中としては11月26日以来の安値をつけた。対ドルでの下落はこれで5日連続で、週間ベースでもおよそ2カ月ぶりの大幅安となる見通しだ。
ブルームバーグは今週、関係者の話として、日銀が追加利上げを急ぐ状況にはないと認識していると報じた。消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わないとみているという。
ブルームバーグの報道を受けて、金融市場では日銀による来週の利上げ観測が後退。足元で市場は利上げ確率を16%と織り込んでおり、1週間前の64%から低下している。日銀は米連邦公開市場委員会(FOMC)の翌日となる19日に金融政策を決定する。FOMC会合では0.25ポイントの利下げが予想されているが、長期的な金利の見通しは不透明だ。
三菱UFJ信託銀行(ニューヨーク)のセールスおよびトレーディング部門責任者、小野寺孝文氏は、来週の日銀の利上げはなさそうだと話す。米金融当局が利下げを決めつつ、来年の利下げ休止を示唆すれば、1ドル=156円まで円安・ドル高が進む可能性があると述べた。
日銀が13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感は2四半期ぶりに改善した。だが、このデータが金利見通しに大きな影響を与えることはなかった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の為替・金利戦略ストラテジスト、アダーシュ・シンハ氏は「リスクは円安方向に傾いている」と指摘。「日銀は今後の米国の経済政策を見極めるため、様子見の姿勢を取っている」と述べた。
原題:Yen on Longest Losing Streak Since June on Bets BOJ to Hold (1)(抜粋)