なぜ国や自治体の情報公開制度は“全面黒塗り”ができるのか…現場の裁量で開示拒否できるデタラメ行政の実態
2つの会社が一字一句違わず、まったく同じ回答を…
要約すれば、上から順に、(1)「個人情報なので開示しない」(行政機関は、利用目的以外の保有個人情報の提供を禁止されている)、(2)「企業秘密なので開示しない」、(3)「開示すると、率直な意見交換がしにくくなる」ということのようだ。 残る3つの開示しない理由については、何度読み返しても意味不明だった。 そもそも、これらの非開示理由がどの箇所にあてはまるのかも指定されておらず、条例で定められている規定に無理矢理あてはめているだけのような印象である。 非開示理由として、やはりいちばん大きいのが(2)の企業秘密だろう。 この点は、当然、文書に名前の出る相手方にも開示していいかどうかを確認しているはず。 そう思って、市民図書館の情報開示の担当者に問い合わせたところ、「もちろん、相手方の意向は、電話でしっかり確認しています」との回答だったため、その証拠となる文書を開示申出してみたところ、出てきたのが「口頭意見聴取記録票」(【画像2】)である。 小さくて文字が読めないと思うが、「意見聴取の結果」の部分には、どちらも次のように書かれている。 「法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがあると認められるものについては、不開示とする」 これが市民図書館担当者がアール・アイ・エー(RIA)と南海電鉄に電話をした際の、両社からの回答のすべてだという。 しかも、両社ともに、市側の意向確認に対して、一字一句違わず、まったく同じ回答をしている。 事業者としては、1400枚におよぶ開示資料すべてについて、どことどこを非開示にしてほしいという個別具体的な箇所を伝えるのは難しいとしても、せめて「こういう情報は控えてほしい」と例示くらいはしたのかと思ったら、そんなやりとりすらなかった。 意思確認は形式的にすぎず「和歌山市さんに任せるから、いいようにやっといて」ということだったとしか考えられない。