なぜ新型マツダMX-30は“個性”を大切にするのか? 自由な発想がマツダを変えられるのか
マツダが投入した新型「MX-30」は、観音開きのドアを持つユニークなSUVだ。はたして、開発の経緯は? 商品本部主査の竹内都美子氏に訊いた。 【写真を見る】新型MX-30の詳細(35枚)なぜスカイアクティブXは搭載されないのか?
粘り強い説得で“個性”を実現
10月8日に発表されたMX-30は、「マツダ3」をもとに開発されたSUVだ。従来のマツダ車とは大きく異なるデザインおよびパワーユニットが特徴である。 内外装のデザインは斬新だ。「フリースタイルドア」と呼ぶ観音開きドアを採用し、内装にはコルク材をセンターコンソールやドアハンドルに使う。ギアセレクターやエアコン操作パネルもほかのマツダ車とは異なるデザインで、MX-30の個性を強める。 パワーユニットは、エンジン+小型モーターのマイルドハイブリッドのほかにBEV(Battery Electric Vehicle)も設定する(現在は海外市場のみ)。さらにロータリーエンジンを発電機として使うレンジエクステンダー仕様のBEVも今後投入されるようだ。 これほどまでに個性的なMX-30はどのようにして誕生したのか? 開発責任者の竹内都美子氏(商品本部主査)に話を訊いた。ちなみに、竹内氏は、マツダ初の女性主査(開発責任者)である。
当初から個性的なSUVを目指して開発されたのでしょうか?
竹内:開発当初はまったくの“白紙”でした。ボディ形状や価格、定員も決まっていませんでした。ただし「自宅のリビングルームのような、居心地の良い車内空間をつくろう」という話はありました。 デザインを進めていくなかで、EVの話が持ち上がりました。くわえて、マイルド・ハイブリッドシステムも搭載出来るかもしれない、という話が舞い込んできたのです。こうした事情もあってバッテリー搭載のため、SUVタイプの形状になったのです。
なるほど。フリースタイルドアが個性的ですね。
竹内:デザイン性と乗降性を両立すべく採用しました。開発チームの発案です。採用によってMX-30ならではのクーペルックを実現出来ました。
インテリア・デザインも個性的です。
竹内:新しいクルマの価値を創造するべく、コルク素材などをあえて使いました。とはいえ、ハードルも高く、工場関係者や上層部からは「なぜ、MX-30だけ特別な部品、素材を使わなくてはいけないのか?」と、疑問の声もあがりました。それらに対し、粘り強く説得を重ね、実現に至りました。くわえて、コルク素材は耐久性の基準をクリアするのが大変でした。