子どもが性の悩みを気軽に相談できる関係性をつくるには―家庭での性教育で心がけたい三つのポイント #性のギモン
性教育は0歳からでも始められる
――性について子どもに伝えるタイミングを悩んでいる方も多いようです。 染矢明日香: 伝えるタイミングはいつでも大丈夫です。ただ、一番伝えやすいのは幼少期で、0歳からでも性教育を始めることができます。性行為とは何かを話すことだけが性教育というわけではありません。例えば自分のプライベートゾーンを触る・触らないという同意を確認するということを習慣づけるために、おむつを替えるときに「おむつを替えるね」と声かけをしたり、自分の身体を清潔にケアするという点でお風呂で「きれいになったね」と声をかけたりすることも広い意味での性教育の一つ。成長過程では「水着で隠れる部分と口はプライベートゾーンだから自分だけの大事なところ。もちろん体すべてが自分の大切なところではありますが、命をつなぐことや尊厳にもかかわる場所として、他の人が勝手に見たり触ったりしてはいけないよ」という意識づけをしていくことも大切だと思います。 思春期以降の子どもに対しては「いつでもあなたの味方だよ」と伝えることも一つの方法です。性について面と向かって話すことが恥ずかしいのであれば、書籍や動画をシェアして「困ったらこういう情報が参考になるよ」とか「悩みがあったらいつでも相談してね」と言うことも、子どものサポートにつながると思います。 ――最近は性教育をサポートする書籍や動画なども増えてきましたよね。 染矢明日香: 私たちピルコンでも、海外の動画を翻訳した日本語吹き替えの性教育動画を作ったりしています。性教育とひとことで言っても、性器に関する絵本もあれば誕生や同意をテーマにしているもの、ジェンダーに関するものなど、種類は多岐にわたります。そういったものを親世代の方が子どもと一緒に見ながら学んでいくといいかもしれません。ちょっと気になるニュースがあったらシェアをしてみるとか、そのニュースについて話し合ってみるとか、「私の心の扉は常にオープンですよ」ということを折に触れて子どもに伝える機会にしてもらえたらと思います。 ――子どもに間違った知識を伝えないために悩む保護者も少なくないようですが、どうすれば良いのでしょうか。 染矢明日香: 親だけが子どもの性教育に全責任を持っているということではないと思うんですよね。困ったときは、地域の子育て支援センターや助産師さん、保健師さんに相談していいと思いますし、親自身も悩んで良いと思います。図書館の司書さんに「これくらいの年齢の子が読める性教育の本はありますか」と聞いてみるのもおすすめですね。自分の知識を伝えるだけではなく、「知識を持っていそうな人につなげる」というのも一つの方法です。