京都「ガイドブックには載らない」驚きの名店3選、タクシー運転手さんが、本当にうまい店に連れていってくれる!〈フランス・中華料理編〉
● できたてローストビーフと押し寄せるうまみ 2軒目も京都フレンチですが、少し都心を離れましょう。円通寺、実相院、貴船や鞍馬にも行ける立地。比叡山の絶景がこれほど楽しめるお店は貴重で、その大スケールの眺望は唯一無二! 眺望と良質のグルメを併せ持った、貴重なフランス料理店です。 お店の名前は「ローストビーフの店 Watanabe」。その名の通り、メインはあくまで「ローストビーフ」です。肉が生の状態から専用の機械で火入れして、できたてほやほやのローストビーフを堪能できます。ローストビーフというと、冷やして食べる物というイメージがありますが、他のお店とは提供されるスタイルが大きく異なります。 生肉から目の前で火入れが始まるため、肉の火入れには40分程度かかります。その間に、選んだ良質のオードブルを頂けます。私が特に印象に残っている一品は「前菜の盛り合わせ」。他に選べるデザートもあり、デザートに至るまで、途切れることなくうまみが押し寄せてくるお店です。 できたてのローストビーフを堪能できる希少性ある存在ですが、イチボ、ランプ、熟成肉と、肉の種類が選べます。初めて訪れたときは、写真の「国産黒毛和牛のローストビーフ(ランプ)コース」がおすすめ。 私は「京都フレンチ」という言葉を広めたく、京都のすべてのフランス料理店を制覇したいと日々考えています。一方で、実は中華やスペイン料理に至っても、京都は見事なレベルに達していることがお分かりいただけるようなお店をご紹介していきます。「京都は和食文化だけではない」というところも、私がぜひ強調したい点です。 ■ローストビーフの店 Watanabe 京都市北区上賀茂本山100-1
● 中華とフレンチのいいとこ取り 3軒目は5年前に芦屋から河原町に移転してきた中華とフレンチの融合を楽しめる「VELROSIER (ベルロオジエ)」。近年、『ミシュランガイド京都・大阪』で二つ星を獲得しました。おまかせコースのみで、旬の食材を活かすため毎月内容が変わります。 冒頭の写真でご紹介したシグネチャー(看板)料理の「フォアグラ最中」も、食通の間では話題になっています。ベースは中華ですが、表現方法がフランス的で、双方の「いいとこどり取り」をしているのが贅沢(ぜいたく)な部分です。人によってはマカロンのようにも感じられるスペシャリテ、近未来的な印象も深く、冒険ともいえる驚きの風味です。 フォアグラをコンフィに仕上げた後、煮切った紹興酒にじっくり漬けて風味にアクセントをつけ、はっさくの自家製ジャムと共に挟んで最中に包んであります。最中(日)+フォアグラ(仏)+紹興酒(中)という具合に、まさに多国籍なうまみを楽しめます。 2皿目は「炙り鮑(あわび)」。低温調理による火入れに8時間かけた鮑、やはり低温調理のアスパラガス、雲白肉(うんぱいろう)は豚バラ肉を蒸した物で、乾燥湯葉を揚げた物と一緒に、うまみを封じ込めながら炒めてあります。瓦を模したフランス風の焼きせんべい「胡麻油のチュイル」も添えられています。 バリエーション豊かなソースも注目です。透明なXO醤、濃色で中華の甘辛ソースの甜醤油(てんじゃんゆ)、白い寝セロリのピューレが、フランス料理の表現方法であるのに、風味は中華の神髄を含ませている感じです。 名門「ホテル日航大阪」で修業し、その後、「HAJIME」(大阪市西区)の料理を食べて覚醒したオーナーシェフの岩崎祐司さんは、独自の方向性で人気を集めています。 ――「京都驚きの料理店7選」、今回は京都フレンチと中華料理のご紹介でした。残り4軒の魚料理、地鶏やジビエ、肉料理(ハンバーグ)、沖縄への敬意惜しみなく旬を味わえるお店については、次回、バリエーション豊かにお届けします。ご期待ください! ■VELROSIER(ベルロオジエ) 京都市下京区河原町通四条下ル2丁目稲荷町318-6
らくたび/若村亮/ダイヤモンド・ライフ編集部