●　ハーブを重ねて物語を紡ぎ出す「うまみの集合体」 　このたびは、京都グルメタクシーにご乗車いただきありがとうございます。私自身がフランス料理人をしていただけに、まずは2軒の「京都フレンチ」からご案内いたしましょう。一つのお店につき写真2点を原則に、お料理の解説もできるだけ詳しくいたします。 　まずは、人気の「御所南」から。京都御所の南側、南北を丸太町通と御池通に挟まれたこのエリアには、競合店がひしめき合っています。その中で異彩を放つのが「Synager（シナジェ）」です。 　このお店、彩り、香り、蒸留など、ハーブを重なり合せる論法にたけています。一皿一皿に物語のような飾りが施され、料理を出すタイミングが絶妙！ まずは「アルプスサーモン 花のタルティーヌ」をご覧ください。ライ麦パン、サワークリーム、アルプスサーモン、ウイキョウのサラダ、ディル、ディルの花、バラのドレッシング、食用のバラが重なり合っています。それぞれジャンルの異なる素材なのですが、同時にまとめて口にすると、意外なことに統一感があります。相乗効果を発揮した「うまみの集合体」ともいうべき一皿です。 　2皿目は、「奈良から届く、ブールノワール」。奈良から届いたフランス原産の鶏肉に、炭火で焼かれたお野菜、燻製（くんせい）風味のブラックオリーブのパウダーを添えています。香ばしく、そして芳醇な風味で、モルモッチョ（チーズ）と万願寺とうがらしというアクセントのある2種類のソースで楽しむことができます。 　お店は2021年創業。オーナーシェフの北岸寿規さんは、その経歴に「ベルクール」（左京区）、イタリアン「リストランテナカモト」（木津川市）、さらに祇園の和食店もあり、独自の料理スタイルを構築されています。ノンアルコール・アロマティーもぜひおすすめしたいです。 ■Synager（シナジェ） 京都市中京区東洞院二条上ル壺屋町512-2