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温水洗浄便座の普及率、北陸が高い理由 生まれは日本じゃなかった? 普及のきっかけとなった伝説のCM

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在宅が続くことも多い今、自宅にあって良かったのが温水洗浄便座。個人的には外で使うのに少し抵抗があるので、家選びの際にかなり重視した存在です。この温水洗浄便座、国内では8割以上の世帯にあり、滋賀・富山・福井の順に普及しています。登場してから50年以上。なぜここまで広まったのか、歴史をたどりながら、地元の人やメーカーに聞きました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼) 【画像】見たことある?男性用の手洗い付き小便器が画期的 TOTOとLIXILの初代温水洗浄便座も紹介

言葉では使わない「温水洗浄便座」

知っている人にとっては何をいまさらと感じるかもしれませんが、温水洗浄便座の商品名はメーカーごとに違います。TOTOは「ウォシュレット」、LIXIL(INAX)は「シャワートイレ」、パナソニックは「ビューティ・トワレ」といった具合です。各メーカーの名前が一般的にも浸透しているため、「温水洗浄便座」と日常で呼ぶ人は少数派かと思います。 内閣府の消費動向調査によると、初めて調査をした1992年の時点では14.2%の普及率(2人以上の世帯)でしたが、右肩上がりに普及が進み、10年後の2002年には47.1%と半数近くに迫りました。最新(2020年3月時点)の調査では、80.2%とかなりの世帯に浸透した一方、普及率自体は落ち着いてきています。 「清潔な国」という日本の象徴の一つにもなっている温水洗浄便座ですが、その始まりはかなり昔にさかのぼります。実は、生まれたのは日本でなくアメリカ。病気の母親のために息子が作ったのが始まりだと言われています。その息子が会社を興し、医療用に販売を開始。目をつけたTOTOが、1964年にライセンス契約を結んで改良を重ね、1980年に家庭用に売り出しました。

「おしりだって洗ってほしい」

アメリカやスイスでの登場を経て、今から50年以上前の1967年、愛知の伊奈製陶(現・LIXIL)が国産1号機の発売を始めました。輸入品は1964年から販売を始めていたといいます。 LIXILによると、国産を発売するため、日本人の体形にあうものを求め、お尻の形のデータを集めるために粘土で社員の「尻型」をとりました。 『その第1号「サニタリイナ61」を保存する衛生陶器の基幹工場、LIXIL榎戸工場(常滑市)に、この道一筋40年以上の「レジェンド」がいる。シャワートイレ&電装技術スーパーアドバイザーの井戸田育哉さん(60)だ。当初はタンクの裏や下に大がかりな電気装置が埋め込まれ、かかとでペダルを踏んでおしりを洗う仕組みだった。大卒の初任給が約3万円の時代に価格は28万円。家庭では富裕層しか手が届かなかった。しっかり洗うために水勢は「天井に届くほど」で、調整も難しかった。(2018年4月14日朝日新聞朝刊「シャワートイレ 究極の個室、手探り40年」)』 しかし、一般家庭での普及はなかなか進みませんでした。 LIXILのライバルであるTOTOは、前述した通り、アメリカで医療用に製造していた「ウォッシュエアシート」を、「痔を患っている人には喜ばれそうだ」(TOTOカタログ「時代と常識を変えたウォシュレットの軌跡」)との理由で1964年、病院を中心に輸入品の販売を始めましたが、こちらも月に十数台売れれば良い方と、今のような普及率には全く至りませんでした。 「ウォシュレット」の名前では、1980年に一般向けの販売を始めました。今年でちょうど40周年。2012年には「日本人の生活様式を一変させた」と評され、日本機械学会の「機械遺産」に認定されています。 世の中に普及するきっかけとなったのは、1982年にTOTOが登場させた「おしりだって洗ってほしい」のCMでした。TOTOの担当者は「一般家庭への普及は口コミによるものが大きかったです。華やかなCMの裏で地道な営業活動を行っていました」。一方、すでに販売を進めていたLIXILの担当者は「この時期に他社の参入も相次いだことで、普及が進みました」と話します。

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