京都の人気イタリアン「cenci」が手がけた、手土産を買いに寄りたい“おいしい食材店”がオープン
京都の平安神宮のすぐそばにある静かな通りに佇む「cenci」は、シェフ坂本健さんが率いる人気イタリアンレストラン。 【写真】発売予定の「カカオ餅」。もっちりした食感にアマゾンカカオの芳醇な香りや苦味、酸味が幾層にも重なるようなおいしさ。
つながりのある生産者から仕入れた食材の魅力をていねいに引き出し、イタリア料理の枠にとらわれない自由な発想で生み出した料理で、ファンを増やし続けている。日本各地のみならず、ときには海外まで訪れて、土地や生産者、素材と向き合う坂本さんが、レストランで使っている食材や調味料などを取り扱うショップ「manina」をオープンした。 場所は、鴨川にほど近い二条通沿い。地元で人気の居酒屋や焼き鳥屋などが点在するエリアで、cenciからは歩いて15分ほどだ。外観は、不揃いのレンガを積んでラフに仕上げた壁やカーブした窓、木の扉など、温かみと親しみやすさを感じさせるもの。店内は、木くずを混ぜた漆喰や無垢の木をベースとした開放的な吹き抜け空間で、棚にはパスタや調味料、お茶などが並んでいる。 IMG_6437.JPG
「いい生産者のものや発信したいもの、伝えたいものも、レストランだと限られた期間しか使わないのがもったいない気がして、物足りなさを感じていました。こういった気軽に買いに来られる場所があれば、自分たちがおいしいと思うものをもっと伝えられると思ったんです」と坂本さん。 農家の後継者問題、環境変化による水産資源の減少、フードロス、孤食の広がり……。食にまつわる問題はさまざまあるが、坂本さんは料理や食材を通して、その先にある背景に関心をもってもらうことが大切だと考える。
「食べてみておいしくて、その中でつくり手の生き方が見えたり、地球に対して優しい栽培方法をしている人がいるんだとか、なんで無農薬がいいのかとか、土を耕すってどういうことなのかとか、食べることからメッセージを受けるほうが、僕らが広報のように言うより、もっと伝わるのかなと思って。ここで手に取ったものから自然な感じで伝わってマインドが変わることが、僕としてはいちばんいい。一緒に大きなうねりをつくるぞ、SDGsだぞ、みたいに言っても、結局伝わらなかったりすることが多いし、自分自身で気づくきっかけづくりの場になったらいいですね」 過剰包装を避け、エコバッグを推進するなど、環境への取り組みも大切にしている。オリジナルエコバッグは、イタリア料理やワインの監修もしている、デザイナー・イラストレーターのハヤシコウさんに依頼したものだ。