心が軽くなる、精神科医 名越康文先生が語る「さみしさとのつきあい方」
リアルな人間関係じゃなくたっていい。ウェルカムされる場に身を置こう。
ふとしたときに感じる、さみしいという気持ち。乗り越えるにはどうしたらいい? キーワードは“ウェルカム”な場所、関係、そして循環。精神科医の名越康文先生ならではの、さみしさを癒し、乗り越える方法を伺いました。 【フォトギャラリー】冷えた体をケアすることが「さみしさ」の特効薬!温活記事まとめ 【精神科医 名越康文さん】 専門は思春期精神医学、精神療法。引き続き臨床に携わる一方で、コメンテーター、映画評論、マンガ分析など様々な分野で活躍。趣味はバンド(THE BARDIC BAND)活動、砂利置き場撮影なんて一面も。出演した舞台『カタシロRebuild』もYouTube配信中。
世界から孤立した心はゆるやかなつながりで回復していく
さみしさは、「私は疎外されている」「世界から孤立している」という感覚のことです。 自分だけ一人切り離されて世界がそっぽを向いていると感じる。 漠然としているけれどけっこうダメージがあるんです。 自分だけがひとりぼっちで、周りはみんな幸せに見えるというようなときもあるでしょう。 しかし本来、一人でいる、孤独にあるという〈状態〉は決してネガティブなことではありません。 クリエイティブな表現や自分を成長させるためには、一人の時間が大切だからです。 ただ、“自分は孤立している”と感じてしまうのなら問題です。 そういうときは、何より、心にエネルギーを補給してあげましょう。絵が好きなら美術館に行くとか、リラックスできる場所に身を置いてみる。 気分を解放し、外側とつながることが大切です。 人は普段、緊張感をもって生きています。 特に日本人は意識せずとも気をつかっていて、世界基準なら“病んでいる”くらい疲弊しているのかもしれません。 気をつかっているということは、ある意味、常に“おもてなしをする側”だということです。 心を回復するには、その逆で、「私は受け入れられている」あるいは、「ここにいてもいいんだ」と安心できる場所や関係が必要です。 それを僕は“ウェルカム”されると呼んでいます。 朝挨拶をして、笑顔が返ってくるとそれだけで癒されます。 アクション&リアクションでできている軽い雑談も、ウェルカムの送り合いのようなものです。