30g台の超軽量シャフトってどんなゴルファー向け? メリットとデメリットをクラブ設計家に聞いた【クラブ選びをクール解説!】
「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は超軽量シャフトのメリットとデメリットについて教えてもらった。
ただ軽くすれば、飛ぶようになるわけではない
みんゴル(以下、み):「エアスピーダー」や「グランドバサラ」に続き「ヴァンキッシュ」にも30g台のモデルが登場しました。最近のドライバーの純正シャフトは50g台がメインで、軽量モデルには40g台が装着されていますが、それを下回る30g台の超軽量シャフトはいったいどんなゴルファーに向けたモデルなのでしょうか? 宮城:30g台のシャフトが出てきたのはここ6、7年くらいですが、力がなくてクラブをしっかり振り切れない女性ゴルファーやグランドシニアにとっては救世主のような存在となっています。 み:ちょうど自分もそろそろ軽いシャフトに替えようかと思案しているところですが、どれくらいの重量が適正なのかわかりません。 宮城:シャフトはただ軽くすれば飛ぶようになるわけではありません。また、女性やシニアが超軽量シャフトしか打てないということもありません。フィッティングで大事なのは重さと長さをセットで考えることです。シャフトを軽くすると同時にレングスを長くする人が多いけれど、同じヘッド重量であればバランスが増えて結果的に重いものを振ることになってしまいます。しかも、超軽量シャフトを長尺で使うと振り心地がぺらぺらになり、ミート率が下がる可能性があります。 み:30g台でもXを選べばしっかりしているのでは? 宮城:「ヴァンキッシュ」の30g台のXは振動数が260台なのでちょっと硬めのSくらいです。超軽量シャフトを長くするよりは、いま使っている重さで44.5インチくらいに短くして使ったほうが軽く感じて振りやすいし、ミート率も上がるので飛ぶようになる人は多いでしょう。 み:それなら費用も安く上がりますね。ドライバーのシャフトの適正重量はどう考えればいいのでしょうか? 宮城:ゴルフは修行ではありませんが、現在の体力に対して限界の負荷をかけたほうがプレーヤー寿命は伸びるでしょう。それに、もし1Wを30g台にしたらアイアンは40g台を使わなくてはならないので選択肢がほとんどありません。確かに30g台のシャフトはテクノロジーとしては素晴らしいと思いますし、それを必要とする人もいるでしょう。しかし、いきなりそこに飛びつく前に、レングスを短くする方法も考えてみてください。