神戸が関西勢対決を制して5大会ぶり2度目の天皇杯V 決勝弾のFW宮代大聖「2冠を目指す」
◇天皇杯決勝 神戸1-0G大阪(2024年11月23日 国立競技場) 71大会ぶりの関西勢対決となった決勝が国立競技場で行われ、神戸がG大阪を1―0で退け、5大会ぶり2度目の頂点に立った。後半19分、FW大迫勇也(34)、FW武藤嘉紀(32)が絡んで最後はFW宮代大聖(24)が値千金のV弾。首位に立つJ1リーグ戦との2冠が現実味を帯びてきた。G大阪はFW宇佐美貴史(32)の負傷欠場が響き、9大会ぶり6度目(前身の松下電器時代を含む)の制覇はならなかった。 自らを今季の神戸のキーマンと口にするストライカーが勝負を決めた。0―0の後半19分、大迫のポストプレーから武藤がDFラインの背後に抜け出しシュート気味のクロス。相手のクリアが小さくなったところを宮代が右足で押し込んだ。 「最初はクロスをもらおうと思っていた。あそこにボールが転がってきたのは結果論だけど良かった」。昨年所属した川崎Fでも天皇杯優勝に貢献した24歳のアタッカー。“個人連覇”に、「もう一回獲りたいと思っていた」と笑った。 新加入ながら今季リーグ戦ではキャリア初の大台となる10得点に乗せた。大迫、武藤に次ぐ数字を叩き出しているが、その背景にはベテラン2人へのリスペクトとライバル心がある。「言葉を選ばずに言うと、憧れちゃダメなので。負けたくないという気持ちで、このチームに移籍してきた。ただ、今までもやっていたつもりだったけど、もう一つ上の意識があるのかなと感じました。あの人たちがいることで引き上げられている部分もある」。2人の存在が宮代を大きく成長させた。 「サコ(大迫)くんとヨッチ(武藤)くんは得点を決める絶対的な力がある。あとチームにアクセントをどう加えられるかといえば、それは自分です」 リーグ優勝した昨季は大迫と武藤が抑えられた試合で苦労した。だが今では“第3の矢”として欠かせない存在だ。自らも、その役割を自覚している。 主導権をほぼ握られながら、ワンチャンスを決め切って19年度以来5大会ぶり2度目の頂点に立った。大迫は高らかに言った。「タイトルを獲り続けるチームになる。そのためにやっている」。J1リーグ戦は2位広島に勝ち点3差を付けて首位を走る。「Jリーグの優勝もかかっている。2冠を目指して頑張りたい」と宮代。神戸が常勝軍団への道を歩み出した。 (飯間 健) ▼神戸・三木谷浩史会長 選手、スタッフ、サポーター、スポンサーのみなさんに感謝したいです。地力がついてきた。前回(19年度の初優勝)は興奮したけど今回は充実感がある。あと2試合、大切な試合が残っているので、手綱を緩めずに頑張ってほしい。 ▼日本協会・宮本恒靖会長 両チームがタイトルを懸けてフェアに戦った決勝だったと思います。自分としてはどちらのチームにも思い入れがあります。勝ったクラブの皆さんには心から祝福をお伝えしたいと思いますし、残念ながら敗れてしまったクラブの皆さんにはまた次に向けて頑張ってほしいと思います。 ▼日本代表・森保一監督 決勝戦ならではの緊張感ある試合。神戸はタレントの能力を生かしてゴールに結びつけた。ガンバは宇佐美選手の分まで、最後まで諦めずに戦っていたのが印象的だった。