「鬼滅」最終巻が発売 県内書店に列
社会現象となっている人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」の最終巻23巻が4日発売され、石川県内の書店では開店前から行列ができた。コミックを手にした人がレジに続々と向かい、書店のスタッフは来店客への対応に追われた。関連商品の売れ行きが好調となるなど「鬼滅特需」は地域の書店や企業にも及んでおり、「最終巻でブームが終わってしまうのは惜しい」と続編を待ち望む声が上がる。
「鬼滅の刃」は漫画誌「週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんの作品で、今年5月に完結した。版元の集英社によると、未公開シーン14ページ分が収録された23巻は初版395万部を発行する。
「在庫はしっかり用意したが、明日、明後日まで残せるか分からない」。金沢市の香林坊大和の担当者は、7階の紀伊國屋書店に来店客が続々と訪れる様子に顔をほころばせた。新型コロナの感染対策で、店頭には商品を置かず、レジで購入希望者に渡す。
香林坊東急スクエアの「うつのみや金沢香林坊店」もレジ内に最終巻を置いて販売した。うつのみや(金沢市)によると、同社には数百件の予約が寄せられているという。1~22巻も品薄状態となっており、担当者は「連日、予約の対応で現場は大変だが、ありがたい。物語が終わってしまうのは残念だ」と述べた。
金澤文苑堂(金沢市)のツタヤ金沢店では、開店前に約50人の列ができた。同店では、漫画の単巻としては過去最多となる約1500冊の入荷数を確保した。
鬼滅の刃の1巻からの累計発行部数(電子版を含む)は全国で1億2千万部を突破した。映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開された10月の漫画の売り上げは前年比で約1・5倍に達し、ブームが社会現象となっている。
関連グッズの売れ行きも好調だ。Tシャツブランド「OJICO(オジコ)」を展開するチャンネルアッシュ(金沢市)は11月に鬼滅の刃のキャラクターを描いたスエットの予約販売を始めたところ、子ども用、大人用の計千枚が売り切れた。担当者は「記憶にないほどの反応でかなり驚いた」とし、今月中にはオンラインで一般販売する。
キャラクターがくわえている竹に着想し、緑色のちくわを製品化したスギヨ(七尾市)も、11月にオンラインで1ケース40本入り(2千円)を100ケース限定販売した際、一瞬で完売。今も連日問い合わせがあり、再販売を検討している。
北國新聞社