「米国、来週利下げ」…対応できない韓銀
先月の米国の物価上昇率が予想通りとなり、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げに「青信号」がついた。しかし非常戒厳と弾劾政局の直撃弾を受けた韓国は外国人投資金の離脱の懸念が強まり、追加利下げのタイミングが複雑になった。 米労働統計局は11日(現地時間)、先月の米国消費者物価指数(CPI)が昨年11月と比較して2.7%上昇したと発表した。10月のCPI上昇率(2.6%)と比べてやや高いが、ダウジョーンズが集計した市場専門家の予測値と同じだ。特に変動性が大きいエネルギーと食品価格を除いたコアコアCPIは先月、前年同月比3.3%上昇した。これも専門家の予測値と一致する。 その間、米国のCPI上昇率を牽引してきた住居費圧力が小幅下落したという点が前向きに評価された。実際、先月の米国の住居費上昇率は前年同月比4.7%と、10月の上昇率(4.9%)より小幅低下した。2022年1月(4.4%)以降で最も低い。特に住居費のうちこれまで下がらなかった項目「自家所有者の住居費(owners’ equivalent rent)」が前月比0.2%の上昇にとどまり、2021年1月以降で最も低い上昇率となった。 先月の米国のCPI上昇率が予想値と一致したうえ、住居費上昇の勢いが鈍化傾向に入り、今月の政策金利引き下げの可能性もほぼ確実視されている。12日午後5時にシカゴ商品取引所(CME)Fedウォッチが予想した今月の政策金利引き下げ確率は98.6%と、CPI発表直前の確率(88.9%)と比べて急騰した。 米国経済が良い景気状況を維持しながらも物価上昇率が鈍化する、いわゆる「ゴルディロックス相場」となり、市場も歓迎している。この日、ニューヨーク株式市場のナスダック総合指数は前営業日比347.65ポイント(1.77%)高の2万0034.89で取引を終えた。ナスダック総合指数の2万超は1971年の創設以降初めて。S&P500指数は49.28ポイント(0.82%)高の6084.19で取引を終えた。 米国が政策金利引き下げサイクルを持続し、他国も金利を下げている。特にこの日、カナダ中央銀行(BOC)は政策金利を従来の3.75%から3.25%に0.5%引き下げる「ビッグカット」を断行した。 最近、経済成長率予測値が予想を下回っているうえ、米国の利下げで資本流出負担が減り、景気浮揚側に傾いている。 問題は韓国だ。内需不振の韓国は利下げによる景気浮揚が至急だ。しかし弾劾政局による外国人資金離脱の雰囲気は負担となる。 この日、ソウル外国為替市場で韓国ウォンは前日比0.3ウォン値上がりした1ドル=1431.9ウォンで取引を終えた。米国の政策金利引き下げの期待感から韓国ウォンがやや値上がりしたが、依然として心理的抵抗線の1ドル=1400ウォンを上回る1430ウォン台となっている。 こうした状況で韓国銀行(韓銀)が内需浮揚を理由に政策金利を引き下げれば、外国人資金の離脱に油を注ぎかねない。実際、李昌縺(イ・チャンヨン)韓銀総裁も非常戒厳事態後の10日に国会企画財政委員会所属の野党議員らと会い、「(為替レートは)当分は以前の水準に戻りにくい」とし「今も安定傾向に入ったと見るのは難しい」と憂慮した。