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伝説のデザイナー、エルザ・スキャパレリがデザインを生み出した経緯を辿る

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ハーパーズ バザー・オンライン

彼女はますます自分をサークルの中に囲い込むようになったが、激しく積み重なったエネルギーと意思をどのように表現するのか、まだ想像がついていなかった。誰も彼女のために選んではくれなかったであろう道を歩き始めたのは、まったくの偶然からだった。 1、2度だが、得意だった絵画や彫刻ではなく、ドレスやコスチュームを発明することができるのではないかと私は考えたことがあった。ちなみに、ドレスをデザインすることは、私に言わせれば職業ではなくアートだ。私は、それはもっとも難しく、満足できないアートだと知った。なぜなら、ドレスは誕生するやいなや、過去のものになってしまうからだ。たいていは、頭の中で描くビジョンを実現させるのに、あまり多くの要素を必要としない。ドレスの解釈、それを作る手段、そして素材の驚くような反応のしかた、これらすべての要素は、どんなに優秀な通訳者がいたとしても、あなたにとっては、苦くはないが、少々がっかりなものになってしまうのは避けられない。ある意味、もし満足してしまったら、なお悪い。なぜなら、一度創ったら、そのドレスはもう、あなたのものではないからだ。ドレスは、絵画のようにただ壁にかけておけるものではないし、本のようにそのままの状態で、長く過保護に扱われて生きていくものでもないのだ。 ドレスは、人に着られて初めて命を持つ。そして、そうなるやいなや、別の人格があなたにとって代わって命を吹き込む。あるいは、吹き込もうとして賛美するか、破壊してしまう。もしくは、美しい歌に変わる。たいていは、大したことのないオブジェになるか、あなたがそうなってほしいと願っていた夢や表現の残念なパロディーになってしまうのだけれど。 頭の中に大胆なアイディアがいっぱいあった私は、1人、2人にアプローチしてみた。ひとつはマギー・ルフのメゾンだった。私はとても丁寧で魅力的なジェントルマンに、「ドレスを作る才能も仕事もないから、それよりじゃがいもを育てたほうがいいだろうと」言われた。私はそれについてはそれほど幻想を抱いていたわけではなかった。 ある日、友人のアメリカ人女性が私を訪ねてきた。常に賢い彼女は、その日はセーターを着ていた。プレーンだったけれど、それまで私が見たことのあるものとは違っていた。

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