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伝説のデザイナー、エルザ・スキャパレリがデザインを生み出した経緯を辿る

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ハーパーズ バザー・オンライン

20年代、30年代、40年代に活躍したもっとも有名なデザイナーのひとり、エルザ・スキャパレリは、遊び心と色彩、エキセントリックさを大事にしたシュールな美学でその名を馳せた。彼女の大胆さと並外れた感性には、キャサリン・ヘプバーンやマレーネ・ディートリッヒをはじめとするハリウッドのアイコンたちもファンになり、数多くのアーティストともコラボレーションした。中でもっとも有名なのが、サルバトール・ダリだ。 【写真】ファッションの歴史を変えた、18人の女性デザイナーたちをプレイバック 1954年、彼女は、ネズミが出るアパートでの暮らしから第二次大戦中に赤十字で看護助手として働いたことや、ついにはファッション界で成功するまで、華やかな人生について綴った回想録を出版した。その『Shocking Life』は彼女のエキセントリックさと反逆児気質の証になっていて、語り口が一人称から三人称に時より変わっている。“スキャップ”と彼女は呼ばれていたがルールに従うことは滅多になかった。 モデルや雑誌編集者、デザイナーたちが、バレンシアガやバルマン、シャネル、ディオールなどについての舞台裏を読者に案内するヴィクトリア&アルバート・ミュージアム(V&A)の電子本シリーズ『Fashion Perspective』の一部に、その回想録が収められている。そして、そのすばらしい本からの抜粋を、ロックダウン期間中に読者が楽しめるよう、V&Aがオンラインで無料公開した。 そこで、V&A出版の許可を得て、『Shocking Life』の一部をシェアしよう。その中でスキャパレリは最初のデザインを生み出した経緯を振り返っている。

ファッション史における重要な瞬間はここから

私のパリでの生活はかなり退屈で、ひとりぼっちのことが多かった。あの頃、男だったらどんなによかっただろう。ひとりで、どんな時間にも、どこへでも出かけられるということが、私は羨ましくてしかたがなかった。夜、あてもなくさまよったり、カフェで何もせずにただ座っていたりするという恩恵は重要ではないことのように見えるけれど、実際には、そういうことが生活のテイストに刺激を与えてくれるのだ。本当の若さや華やかさを私はまだ持っていなかった。おもしろいことに、ずっと後になってから、私はその2つを知ることになったのだ。 スキャップは、人生のターニングポイントにたどり着き、人生で大事なことは何か、人生は何のためにあるのかと考えていた。しかし、状況は暗くミステリアスだったとは言え、彼女はほぼ幸せだった。夜を過ごす部屋を見つけ、外で荒れ狂う風雨を見る放浪者の幸福だった。 彼女は、再婚はしないとわかっていた。彼女の結婚は矢のように頭に突き刺さり、2度目にトライしようなどという願望を消し去っていた。これから彼女の人生には友情関係が続くのだ。時に優しく、時に離れていて、気が利いていて、プライバシーと自由という、いつも同じ不安感でいっぱいで、小さな権利を求めて絶え間なく闘う。彼女はたいてい、男性よりうまくつきあえる女性たちに助けられたけれど、彼女のことを完全につかまえることのできる男はいなかった。おそらく彼女はとても要求が高く、聡明であるために、彼女が必要としている男を見つけることは決してできなかった。

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