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鈴木亮平が語る、世界遺産への愛と妄想 「一緒にロマンを夢見よう!」

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 多彩なキャラクターにも成りきる高い演技力だけでなく、博識ぶりでも知られる俳優の鈴木亮平が、『行った気になる世界遺産』を上梓した。世界遺産検定1級を持つ鈴木が、厳選した世界遺産30か所に“頭の中で訪れた”妄想旅行記(エッセイ)である。各章のイラストも鈴木による描きおろしで、文章、イラストともにその完成度に驚かされる。 【画像】鈴木亮平アザーカット  そんな鈴木に単独取材。世界遺産に対してはもとより、「みんなと一緒に楽しみたい」「本書は読者へのプレゼン」という表現者としての鈴木の熱が伝わってきた。(望月ふみ) ■旅日記ではなく、あえて小説風にすることを選んだ ――“妄想”エッセイ集、とても面白かったです。 鈴木:変な本ですみません(笑)。 ――30章にわたって文化遺産が登場しますが、読んでいて、鈴木さんは人や文化、言ってしまえば人類がお好きなんだなと感じました。その土地で出会う人々のエピソードも多いので。 鈴木:確かに、海外に行くなら、観光だけではなくて現地の人たちと触れ合いたいという思いがありますね。たとえ言葉が通じなかったとしても。むしろそうした交流がないと旅じゃないだろうと思っているくらいです。 ――それらの物語が、エッセイというより、1つ1つの美しい小説に仕上がっていました。特に各章の締め方に余韻があって、読んだ後にも物語が胸に残ります。恋の始まりを予感させる「ヴェローナ」にはキュンとしましたし、「アツィナナナの雨林」のアイアイなんて、イラストとあわせて一生忘れられません。 鈴木:(笑)。でも、おっしゃる通り、旅日記にもできたものを、なぜ小説風にしたかというと、そのほうがかえって余韻が残るし、絵からの想像も広がると考えたからなんです。難しかったですが、あえてこうした形にしました。 ■実は「小説はあまり読まない」 ――きっと多くの小説や書籍を読まれてきたのかなと。これまでに影響を受けた作家や小説などはありますか? 鈴木:それが僕、小説はあまり読まないんです。 ――え! 意外です。 鈴木:フィクションへの影響という意味では映画からが大きいですし、文字としては戯曲や台本を読むことで刺激が足りている感じなんです。今では文章としても、台本の形式のほうが読みやすいんですよ。行間から想像できることがとても多いですし。それで満足してしまって、あまり小説を読まなくなってしまったんです。紀行であるとか、歴史の解説本や解釈本といったもののほうが読みますね。 ――最近読んで面白かったものはなんですか? 鈴木:「出雲とは何か」ということについて書かれた堅い本がありまして。それが面白かったですね。出雲にはいろいろな説があるんですが、島根ではなくてもともとは大和にあったものを強制移住させられて、といった内容が書かれてまして。すごく面白かったです。 ――そこでも鈴木さんの想像力が刺激されたんですね。 鈴木:ですね。日本の神話なんて、そうしたものの最たるもので、どこまでが実際にあった出来事か分かりませんし、加えて当時の為政者の思惑も入って編集されたりしていますからね。本当は何があったんだろうと、古代の歴史に思いを馳せるのは大好きです。 ■イラスト執筆にも裏テーマあり ――そうした想像力を爆発させた本書ですが、イラストにも触れずにはいられません。文章だけでなく、イラストも本当にお上手です。 鈴木:いやぁ、ありがとうございます。高校生くらいのころから、鉛筆画みたいなものは好きで、たま~に描いてはいたんです。でも本格的に描いたことはなくて。特に僕は色に対するセンスがないんです。だから色付けにすごく苦労しました。ただもともと絵画を見に行くのは好きなので、「ここはあの人風にしてみよう」とか、色んなところに影響を受けて、自分のなかで裏テーマを置いて描いていたりしています。 ――実際に訪れた世界遺産でスケッチをされたことは? 鈴木:番組でならありますが、プライベートではないです。行ったら写真を撮ればいいので。 ――そうなんですか!? 鈴木:行くと、入ってくる情報量がすごいじゃないですか。実際に行った場合は、写真や動画をかなりこだわって撮ったりします。スケッチは、僕にとっては行かないからこその、想像力を働かせてのものなんです。 ■自由に海外旅行ができるようになったら行きたい場所 ――現在、海外旅行に行けない状況が続いていますが、自由に海外へ行けるようになったら、どの世界遺産に真っ先に行きたいですか? 鈴木:この本にも登場している「アブ・シンベル神殿」ですね。今僕の中で、一週回ってまたエジプトがブームなんです。やっぱりエジプトってすごいなと思うんですよね。なかでもこの「アブ・シンベル神殿」は、本書にも書きましたが、世界遺産発祥の地なんです。もともと別のところにあったものを、現代の人間が山ごと移動してきて移設した。巨額の費用をかけて、古代と現代の人間が、「これを絶対に残したい」「人類の遺産を大事にしたい」と願った。その本能が一番現れている、世界遺産の精神を体現している場所だと思います。すごく行きたい。あと、ついでにピラミッドも行きたい。 ――ついで(笑)。 鈴木:いや、ピラミッドもやっぱりすごいんですよねぇ。 ――世界遺産の地に立って、何か役を演じることができるなら、どの地に立ちたいですか? 鈴木:昔から古代ローマが好きなんです。ローマ帝国の時代、そこで温泉に……。でもそうなると、あの作品になっちゃうんですよねぇ(苦笑)。ほんと非常に羨ましいですよ、阿部さんが。いいなぁ(笑)。あ! あと、メソポタミア文明が好きです。世界最古の文明。この時代にぜひ行ってみたいですねぇ。 ■行きたい場所は山ほど。でも第二弾を出すならまた妄想で ――“時代”に行ってしまいたいんですね。 鈴木:世界遺産にもなってるウルクという都市があるんですが、そこで人々がどういう生活をしていたのか、気になります。あとはこの本でも紹介している「サマルカンド」。ティムールというウズベキスタンの基礎を作った武将が大好きなんです。そのティムールが建てたサマルカンドブルーのタイル! 僕はイスラムのアートが大好きなんですが、なかでもこのレギスタン広場はかなりの最高傑作ですね。行きたい! ここの空間に立って文化を感じたい! それで「やっぱり実際に来たほうがいいよな~」ってやりたいですね(笑)。いえ、もちろんもう本当に行った気にはなってるんですが。偶像崇拝が許されないからこそ生まれた、イスラムのこの幾何学模様のタイル装飾の素晴らしさを体感したい! あと、本書には入れられなかったのですが、イランのペルシャのイマーム広場も素晴らしい。 ――止まりませんね。今度は実際にひとつひとつ足を運んだ上で新たな本を出すのは? 鈴木:それもいいんですけどね。僕の中ではもう行った気になっているので、行ったところはもう書けないんです。 ――書けない? 鈴木:書けないというか、人にプレゼンできなくなっちゃうんです。熱が少し下がってしまって。本当に行くと、満足して自分の思い出の中に閉まっちゃうんです。だから万が一第二弾をやるなら、また妄想がいいですね。読んでくれる人と一緒に、まだ見ぬところを旅したいんです。「すごいよね、行ってみたいよね。俺も行ってみたい。一緒に行こう!」と、一緒にロマンを夢見たいんです。 ■世界の素晴らしい場所を知って、一緒に感動して ――本当に熱量がすごいですが、鈴木さんはいろんなところにアンテナを張ってらっしゃいますよね。それは子供のころからですか? 鈴木:いえ、僕、今でも興味のある分野って狭いんですよ。自分が興味あるところ以外は全く知らないです。たとえば食べ物。僕、おしゃれな店とかおしゃれな食べ物とか、全然知りません。だからハイカラな料理とか言われても全然。「ダッカルビ??」みたいな(笑)。 ――どこかに鈴木さんのアンテナにひっかかるものがないとダメなんですね。 鈴木:たとえばこの料理はこの街で生まれて、こういう背景がとか。 ――なるほど! この隠し味には古代の云々となっていくと。 鈴木:そう! 普通に、「この隠し味の香りが~」とか「とにかくおいしいから」とか言われても、響かないんですよね。でも「この隠し味の香辛料を手に入れるために、ポルトガルの商人がこれだけの旅をして……」とかなってくると、俄然楽しくなってくる。だから普段、興味のある分野は限られてるんです。 ――想像力が鈴木さんの好奇心の源なんですね。最後に一言。読者へメッセージをお願いします。 鈴木:妄想旅行記という、いまだかつてなかった書籍を書きました。どういう楽しみ方をしていただけるのかも、きっと人それぞれだと思います。僕が大好きな、厳選された世界遺産をプレゼンするつもりで書きました。一緒に、「世界にはこんなに素晴らしい場所があるんだ」と驚きながら、感動していただけたらと思っています。

望月ふみ

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