プロサーファー小川直久が潰瘍性大腸炎と大腸がんを乗り越えられた理由
潰瘍(かいよう)性大腸炎で15年近く苦しみ、2020年には大腸がんと診断された日本を代表するプロサーファーの小川直久さん。複数回の手術や抗がん剤治療を経て、現在は競技復帰に向けたトレーニングを開始されています。しかし、小川さんが現在の状況に至るまでにはご自身の葛藤や苦悩、学び、周囲からのサポート、またその背景として医療技術の進歩があったとのこと。今回、小川さんには、腫瘍内科医の楢原啓之先生との対談という形で大腸がんを乗り越えるまでの体験をお話しいただきました。 ※この取材は、2021年12月におこなわれたものです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
“二度と同じものは来ない”波と向き合うサーフィンの魅力
小川さん: 本日はよろしくお願いします。 楢原先生: よろしくお願いします。小川さんはどのような経緯でプロサーファーになられたのですか? 小川さん: 海が目の前にある家で育ったのですが、10歳頃に兄から勧められて始めました。最初はあまり面白くなかったのですが、やり続けて波に乗れるようになったらめちゃくちゃ楽しかったので、その気持ちの延長で今も続けていると思います。 楢原先生: サーフィンの魅力はどんなところでしょう? 小川さん: 波はいつ立つかわからないですし、同じものは二度と来ないのですが、それを自分がキャッチして乗ることには特別感がありますね。今回病気になり、どんな人でも差別なく無心になって楽しめるサーフィンの奥深さとか素晴らしさに改めて気づきました。 楢原先生: 小川さんは若いうちから大会で優勝されるなど選手として活躍するだけでなく、日本プロサーフィン連盟の副理事長を務めていらっしゃいますが、東京オリンピックの影響もあってサーフィンを取り巻く環境はずいぶん変わったのではないですか? 小川さん: メダリストが2人うまれて反響も大きかった反面、思っていたほど変わらなかったというのが正直な印象です。多少は変わりましたが、元々あった「不良の遊び」のようなイメージから「紳士のスポーツ」という認知へ変わるにはまだまだで、イメージを変えていくためにも、次のパリオリンピックで良い成績が残せるよう支援し、私自身が発信していける人になりたいと強く思っています。