ドラマで赤裸々に描く中国の台湾侵攻、そのときメディアは?家族は?…完成前の予告編が世界中で反響
中国による台湾への軍事的な脅威が強まり、いよいよ侵攻へのカウントダウンが始まる――。将来起こるかもしれない事態をリアルに描いた台湾ドラマ「零日攻撃 ZERO DAY」の制作が進んでいる。10月末、プロデューサーや出演者が来日し、記者会見で作品の狙いを語った。(文化部 大木隆士)
ある日、中国の偵察機が台湾沖で墜落した。捜索と救助の名目で、中国は大量の海軍、空軍を投入する。情勢が緊迫する中、脱出しようとする人々で空港がごった返し、反戦デモが起きるなど、社会は混乱。当局が決断を迫られる一方で、様々な工作により、中国の影響はすでに台湾に浸透していた。
政治闘争からメディアの争い、家族問題まで危機に陥った社会での赤裸々な人間模様を、サスペンスやブラックコメディーといった様々な手法で描く全10話のアンソロジー。有事に関する論文を研究し、専門家からアドバイスを受けて脚本を練り上げた。
「台湾の人たちがどのような行動を取り、どんな選択をするか、リアルに表現した。警戒を呼びかけつつ、平和な世界を維持し、戦争を防ぎたい」と、チェン・シンメイ・プロデューサーは話す。出演したリエン・ユーハンは「台湾は自由な創作のできる場所であってほしい。(この作品に出て)色々な役に挑戦する勇気をもらった」と語った。
「必ず波及する」日本での放送・配信を熱望
現実社会では、中国は「一つの中国」という強硬姿勢を維持し、台湾を取り囲むような形での演習を行うなど、軍事的圧力を強めている。そうした中、7月に予告編が公開されると、世界中で大きな反響を起こしたという。現実の国際情勢を踏まえつつも「あくまでエンターテインメント作品にした」とチェン・プロデューサーは強調する。
日本からも高橋一生、水川あさみが参加し、それぞれ別の回に出演した。高橋はビデオメッセージで、「政治的な問題を背景にした人間ドラマを、エンターテインメントとして作ることにおもしろみを感じた」と出演の理由を語った。
2025年に完成予定だが、日本での放送や配信は決まっていない。「台湾で戦争が発生したら、必ず日本にも波及する。日本の近くにも、このような脅威が迫っているのだと作品を通して訴えたい」と、チェン・プロデューサーは日本での放送・配信を熱望していた。