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『SLAM DUNK』海南はなぜ全国2位の成績を残せた? 陵南戦から読み解く、海南スタメンの強さ

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リアルサウンド

 『SLAM DUNK』にはいくつもの強豪チームが登場するが、その中でもやはり特別な存在感を放っているのは海南大附属高校だろう。湘北高校がある神奈川県の絶対王者で、作中中盤までのボスキャラ的な存在である。インターハイ本戦に進んでからは山王工業高校のインパクトに押される形となってしまったが、湘北高校が山王工業に対してジャイアントキリングを起こしたインターハイ、海南はなんと全国2位の成績を残していた(優勝校が不明なのはファンの皆さんならご存知の通り)。今回はその海南の強さの秘密を対陵南高校戦をサンプルに分析してみたいと思う。 【画像】仙道が表紙の『SLAM DUNK 完全版(14)』 ■海南には3ポインターが二人いる  海南のスタメンは不動のメンバーだ。王者・海南を牽引する超高校級プレーヤーの牧をポイントガードに据え、センターには派手さはないが堅実でバランスの良い技巧派の高砂、シューティングガードに驚異の3ポイント成功率を誇るシューターの神、スモールフォワードに抜群の身体能力を備えた期待の新人清田、そしてフォワードに武藤、そう武藤である。対する陵南は天才、仙道をいつものフォワードからポイントガードに配置する陣容で勝負に臨んだ。海南の監督、高頭はその一手を奇策と切って捨てたが、陵南の田岡にとってはずっと念頭にあったベストプランで、福田の復帰によりようやくそれをお披露目することができたにすぎなかった。  それを証明するかのように試合序盤は田岡のプラン通り、仙道のゲームメイク力と、福田の無理やりでもリングにねじ込む得点力で海南からリードを奪うことに成功する。  しかし、ペースを握られても動じることがないのが海南の強さである。もちろん、日頃の練習量、これまでの経験からくる自信もあるのだろうが、そこまで「自分たちの力に自信を持てる」というおそらく劇中海南しか持っていないストロングポイントが、陵南を徐々に追い詰めていくことになる。  そして海南の最大の強み、それは3ポインターが二人いることである。アウトサイドからは神の3ポイントシュート、そしてインサイドは牧のドライブからのバスケットカウントワンスローを狙ったプレイ。  通常のチームを相手にするなら、アウトサイドからの3ポイントに気をつければ、一気に点差を縮められることはそうないことである。しかし、そこに牧のドライブも3ポイントのプレーになる危険を秘めているとなると、ディフェンスも無闇に当たりにいくこともできず、かつ中に気を取られるとアウトサイドから狙われるとあれば、やりにくいことこの上ない。牧と神という全国でも屈指のレベルの2枚を持ち得たからこその強みではあるが、この強力な2枚を最大に活かすために、バランス感覚に優れた高砂がセンターとして機能しているのだろう。  魚住が、赤木がいずれ達した”脇役に徹する”プレーをこの時点で高砂は体現していたのではなかろうか? そしておそらく武藤も周りを引き立てる黒子役として、チームにリズムとバランスをもたらしていた……のだと思う。そして”ルーキーセンセーション”の清田の存在である。身体能力に優れた清田の才能は間違いはないが、まだ1年生。精神的にも未熟な彼の、その一方で物怖じすることなく全力で向かっていく思い切りのいいプレーは、チームに勢いと意外性をもたらし、相手をさらなる混乱に陥れるには十分であるといえよう。  事実、この試合でも完全に陵南に傾いていた流れを変えたのは清田のダンクシュートだった。流れが変わったと見るや、2人の3ポインターが一気に怒涛のゴールラッシュを展開する。陵南も魚住の退場で劣勢を強いられついに海南に逆転を許すも、仙道が終了直前にビッグプレー。しかしそのギリギリの状況でも牧は冷静に対処し、陵南のラストチャンスを潰すことに成功。結果は延長戦で海南が陵南を下し、インターハイ出場をほぼ決定した。  その後インターハイでの海南の試合がはっきりと描かれることはなかったが、結果ファイナルに駒を進めたその戦いぶりは、おそらく陵南戦同様、たとえ自分たちが一時的にビハインドを強いられても、最強の3ポインター2枚を軸に、試合をひっくり返して勝ち上がっていったことだろう。  しかしもし、海南が山王と戦っていたら、いったいどんな試合になっていたのだろう? 河田兄と高砂のマッチアップ、沢北には誰がつく? 神を一之倉は完封できるのか? 牧は深津を制することができるのか? 連載終了から20数年、多くの読者が想像を巡らせに巡らせたドリームマッチ。いまもう一度想像の世界で楽しむのもいいかもしれない。

関口裕一

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