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W杯史に残る名勝負を目撃した、 BGMが世界一美しいスタジアム

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追憶の欧州スタジアム紀行(9)ラモン・サンチェス・ピスフアン(セビージャ)  身体が伸びきったゴムのようにユルユルと弛緩する。リオデジャネイロをはじめとするブラジルの各都市やタイのバンコク、沖縄の那覇空港に到着した際にも襲われる感覚だが、スペインはアンダルシアのセビージャも、負けていない。「昼寝をしたくなる世界の街ランキング」なるものが存在すれば上位にランクインしそうな、いい意味で緊張感に欠けることおびただしい街である。 【画像】久保建英より20年も前にアトレティコと契約した日本人少年  夏はとにかく暑い。空は黒みが掛かるような濃厚な蒼。カンカン照りだ。初めて訪れたのは1982年スペインW杯の期間中だが、街中に設置された温度計の「42」という表示を見て、恐れおののいたことを覚えている。いまにも熱射病に襲われそうな数字だが、日陰に一歩入れば、そこは別世界。涼やかな風が心地よく吹き抜ける。カラッとしているので、それこそ昼寝にはうってつけだ。  セビージャの中央駅にあたるサンタ・フスタ駅には、マドリードのアトーチャ駅からスペイン式新幹線AVEを利用すれば、およそ2時間強で到着する。

そこからセビージャのホーム、ラモン・サンチェス・ピスフアンまでは徒歩わずか10分。スタジアムはまさに街の中心地、繁華街にある。世界広しと言えども、ここまでアクセスに恵まれたスタジアムは珍しい。とりわけ、アウェーサポーターに優しいスタジアムだ。  82年スペインW杯では、開幕第2戦にあたるブラジル対ソ連と、準決勝、西ドイツ対フランスの2試合で使用された。筆者が観戦したのは準決勝。フランスに3-1とリードされた西ドイツが、ゲルマン魂を発揮し3-3に追いつき、延長PK戦の末、ミシェル・プラティニ率いるフランスを下した、スペインW杯を代表する名勝負である。  その日は、筆者の誕生日だった。せっかくなので、上級ホテルを探してはみたものの、見つかったのは1泊500円のホスタル(簡易ホテル)。これまで泊まった宿の中で最も安かったあのホスタルはどこ? たしかスタジアムの目の前だったはずだが――。セビージャを再訪した1998-99シーズン、ラモン・サンチェス・ピスフアンを前に、16年前に宿泊した宿を探してみたくなった。

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