「技能五輪国際大会」開幕迫る…中央職業能力開発協会理事長が語る意気込み
世界の若手技術者が技能を競う「第47回技能五輪国際大会」開催まで1カ月を切った。パリ五輪・パラリンピックの興奮が冷めやらぬ中、9月10―15日にフランス・リヨンで開かれる。前回の中国・上海大会はコロナ禍で中止となり、各国での分散開催となった。選手が一同に集まるのは2019年のロシア・カザン大会以来。日本が招致を目指す28年の大会の開催国も9月に決まる。中央職業能力開発協会(JAVADA)の小林洋司理事長に意気込みを聞いた。 ―リヨン大会に日本からは47職種、55人の選手が出場します。大会での目標は。 「金メダル2個で7位だったカザン大会を相当程度上回るメダルの獲得を目指す。22年の特別開催は金メダル8個で3位だったが、ロシアやブラジルが不参加で中国も部分参加にとどまるなど、強豪国がいなかった。日本が1位だったころもあるが、順位は下がってきており、この局面を反転させたい」 ―JAVADAはどのようなサポートをしていますか。 「18年に技能五輪国際大会の選手強化委員会を設置し、その傘下に選手をサポートするための職種別分科会を設けた。企業を超えてノウハウを共有し合い、他国に匹敵するようなサポートを実施している。今回それが結果となってどう表れるか。国を挙げて選手強化に取り組む中国や韓国と比べて、日本は所属企業に負担をかける部分が大きい。出場選手や企業が変わるとノウハウが定着せず、弱点となっていた」 ―28年の愛知県への招致についての期待は。 「愛知招致は日本勢が大きく反転するための起爆剤になる。技能五輪を大局的に捉えると、大会成績の向上に終始するのではなく、強い日本自体を取り戻すという社会的な意味合いがある。優秀な成績を収める選手を生み出すには選手層の厚みが必要で、技能五輪に挑戦する企業や選手を増やさなければならない。社会的な技能尊重の機運醸成や、若者に対する投資の促進こそが求められる。招致が決まれば、そうした取り組みの大きなきっかけになるだろう」 ―手応えは。 「3月に(技能五輪の運営組織である)ワールドスキルズの訪問団が来日し、良い評価を受けた。高い期待が示されている」 【記者の目/人が持つ技術の向上注目】 9月の大会には愛知県も立候補したが、かなわず、リヨン開催となった。再度の挑戦となる28年の招致に向けて、関係者は「2度目の失敗はない」と覚悟を示す。世界的に人手不足が課題となる中でロボットや自動化の活用に注目が集まるが、導入が進むにつれて人間の知見の素晴らしさも浮き彫りになる。技能五輪を機に、人が持つ技術の向上に着目したい。