ハリー・ケインに見るストライカーの本懐【サッカーダイジェストのザ・ジャーナリスティック】
利他的なチームプレーヤー。それでも真正面から反論は
ビルドアップやスペースメイクに力を尽くし、ユニホームを脱げば思慮深い家庭人。獰猛なハンターとしての顔は、いったいどこに?(C) Getty Images
ハリー・ケインは世界最高峰のストライカーだ。貪欲に、わがままに、ゴールを重ねる。一方で、仲間へのアシストを厭わないチームプレーヤーでもある。この二律背反はどのように成立しているのか、ケイ記者が考えた。(文:オリバー・ケイ/訳:井川洋一 2019年10月3日発売ワールドサッカーダイジェスト『ザ・ジャーナリスティック イングランド』を転載) ―――◆―――◆――― しばらく前の取材現場での話だ。ある記者が、ハリー・ケインにこんな質問を投げた。 「自分自身を3つの言葉で表現してみてください」 しばしの沈黙の後、ケインは次の3つの言葉を挙げた。 「決意、情熱、思いやり」 興味深い回答だった。決意と情熱は、たしかにその通りだ。トッテナム・ホットスパーでもイングランド代表でも、ケインは決意と情熱に満ち溢れている。しかし、思いやり? ケインのような無慈悲なゴ
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