精神障害の夫婦の会を立ち上げ 背景に結婚や育児での孤立感
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、孤立・孤独問題が急速に注目される中、孤立した人を減らそうと統合失調症の夫婦が立ち上がった。横浜市に住む和田公一さん(52)と千珠子さん(54)は3月12日午後、夫婦ともに精神障害のあるペアが体験を語り合える「当事者夫婦の会」を市内で開く。このほど参加者募集を始めた。 精神障害者が同じような経験を持つ人と自主活動する「当事者会」はたくさんあるが、精神障害者の家族関係を研究する蔭山正子・大阪大准教授は、「夫婦そろって参加できる当事者会は少ない。孤立解消に向けた意義は大きい」と評価。当日、夫婦の会にゲスト参加する予定という。 開催の背景にあるのは、2人が結婚・育児で感じた孤独感だ。一緒に暮らす娘(14)の出産は病気を理由に周囲に反対され、生後2年間は乳児院に。娘が自宅に戻ってからは児童相談所の職員と面談を重ねたが、育児をめぐり職員とケンカしたこともある。 「私たちの苦しさを誰にも相談できなかった。とても孤独だった。自分のような人がほかにもいるのでは?」 そう考えた千珠子さんは6年前、通所先の地域生活支援拠点「ほっとぽっと」(同市旭区)を宛先に、精神障害者の結婚や育児に関するお手紙相談を受け始めた。 相談者は計18人で、遠く離れた沖縄の人もいた。千珠子さんが受けた手紙は計93通。「会って話したいというニーズも大きかった。私はあと何年生きられるか分からない。私たちの使命を果たすのは今だと思った」。 「孤立の解消」は公一さんと出演したテレビ番組や、千珠子さんが委員を務める市の障害者施策の審議会などでかねて主張してきた。政府が孤独・孤立問題の担当大臣を置いた今、夫婦の会発足の機は熟したとみる。 千珠子さんは「夫婦の会の場所など詳細は気軽に問い合わせてほしい。お手紙相談の宛先は自宅に移す」と話す。問い合わせは携帯電話(080・3420・3331)または電子メール(djpqh731@ybb.ne.jp)まで。