韓国戒厳令デモで「オタク」が主役に 手にしているのは「K-POP」「日本アニメ」のペンライト
推しアイドルの応援棒
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布について、警察の捜査本部が警察トップらを拘束するなど、捜査の手が政権中枢に及ぶ中、国内外のメディアが尹大統領弾劾集会で気勢を上げる“オタク”たちの姿に驚いている。手にしているのは石でも火炎瓶でもなく推しアイドルの応援棒。日本ではペンライトと称されるコンサート参戦必須グッズだ。 【写真を見る】「50代でこの美貌!」キム・ゴンヒ夫人の整形ビフォー&アフター ***
集会では、輝きを放つ無数のペンライトが揺れK-POPメロディーの大合唱が沸き起こる。ロイター通信は「K-POP応援棒が韓国の弾劾要求デモで燃え上がる」(10日付)とのタイトルでソウル発記事を発信し「市民の応援棒がこれまでのろうそくと置き換わり非暴力と連帯の象徴になった」と伝えた。 韓国の市民デモとしてはかつて「ろうそく集会」が名をはせた。韓国大手紙の社会部記者がこう振り返る。 「朴槿恵(パク・クネ)大統領の職権濫用と汚職に端を発した大規模な市民デモが、2016年10月から2017年3月にかけて発生しました。参加した民衆がろうそくを手にしていたことから『ろうそくデモ』と呼ばれ、12月初旬にはソウル市だけで200万人を超える空前の人数に膨れ上がりました。市民の圧力に屈した国会は大統領弾劾動議を可決。結局、2018年4月6日に朴大統領は懲役24年を言い渡されたのです」 韓国がろうそくの灯りで染まった日から8年。ユン大統領弾劾集会の主人公になったのはアイドル応援棒だった。赤、黄、緑、白……。丸形からキューブ形まで形状はさまざまだ。Facebookなどのソーシャルメディアでは応援棒を種類別に整理した写真付き解説まで出回っている。応援棒を見ると、SEVENTEEN、NCT、aespa、NewJeans、BIGBANG、Stray Kidsなどの応援棒にハングルで「弾劾」の文字を張り付けている。中には日本のアニメ「カードキャプターさくら」の魔法棒まで登場。 それを打ち振りながら定番ソングとなった少女時代の「Into The New World」のほか、15周年記念ワールドツアー中の2NE1が2011年に発表した「I AM THE BEST」、BLACKPINKのロゼがブルーノ・マーズとコラボした「APT.」、aespaの「Whiplash」などの歌を合唱しすっかりお祭り気分。アイドルのヒット曲を次々と大合唱しつつ、歌と歌の間で「ユン・ソンニョルを弾劾せよ!」と全員でシャウトするのである。集会エリア一帯はさながらK-POPのコンサート会場のような熱気に包まれている。