「地域おこしレベルではどうにも……」 地方創生めぐり有識者ら議論
石破政権の肝いり施策である地方創生のあり方をめぐり、政府は29日、有識者会議(座長=増田寛也・日本郵政社長)の初会合を開いた。地方創生の施策は2014年以来続いているにもかかわらず人口減少、東京一極集中の是正に目立った成果が見られない中、出席者からは施策の改善を求める声が相次いだ。 【写真】新しい地方経済・生活環境創生会議の初回会合。オンラインと併用して開催された=2024年11月29日午前9時36分、東京都千代田区、南有紀撮影 会議には、増田氏のほか、芳野友子・連合会長、中村時広・愛媛県知事らが参加。初回はこれまでの地方創生の成果と反省について議論した。出席した委員からは「過疎は慢性的な災害。地域おこしのレベルではどうにもならない」「総人口が減るなか、パイの奪い合いになっている」などと東京を中心とする首都圏への人口流出がとまらない地方の現状への危機感が示された。 会議ではまた、地方創生で講じる施策をめぐり、首相が若者や女性の動向を重視するよう訴えている点に対しても指摘が相次いだ。「『性別役割分業意識』の改革に取り組まないと、(地方に)金をばらまいても意味がない」という声や、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に気づくための大規模調査が必要」といった具体策を提示する場面もあった。 閣僚による「新しい地方経済・生活環境創生本部」は、有識者会議の議論を踏まえ、今後10年間の重点施策を定める基本構想の策定に向け、年内に「基本的な考え方」を決定する方針だ。地方創生は14年に安倍政権で始まり、首相にとっては自身が初代の担当相を務めただけに思い入れは強い。石破政権では地方創生交付金の倍増方針を打ち出し、「地方創生2.0」と銘打ち次のフェーズに移行させる意向を強調しているが、人口減少の歯止めにつながる有効な手立てを打ち出せるかは見通せない。(南有紀)
朝日新聞社