コロナ禍でもポーランドの「日本愛ビジネス」が絶好調な理由
約2年前、日本にほれこみ、それをビジネスに生かしている人たちを紹介した(以前の記事『ポーランド人が遠い異国「日本」に憧れ、ビジネスにする理由』)。今回、改めて取材してみると、コロナ禍にも負けず、彼らのビジネスは絶好調。この2年のビジネスの進捗や堅調の理由などを探ってみた。(フリーライター ミハシヤ) 【この記事の画像を見る】 ● 日本で おにぎり修業を経験 日本好きが高じておにぎり店を始めたカシャさん。この2年で最も大きな出来事の一つは日本のテレビ番組に出演したことだろう。2019年に番組の企画で、日本でおにぎり修業をすることとなったのだ。 東京にあるおにぎり専門店の「ぼんご」と「蒲田屋」でおにぎりづくりの秘訣を学んだほか、新潟では民家にホームステイし、田植えも体験した。 「今、思い返しても夢のような、本当に素晴らしい経験でした」とカシャさん。 テレビ出演後、おにぎり修業に奮闘するカシャさんの姿に感動し、わざわざワルシャワのおにぎり店を訪れる日本人観光客が続出した。 「すごくうれしかったですね。もっと頑張ろうという励みになりました」
● 新店舗の契約翌日に ロックダウン もう一つ大きな出来事は店舗のリニューアルオープン。もっと便利な場所に店を移転したいと考えたのだ。 「本当はイートインとテイクアウトが両方できる店にしたかったのですが、なかなか条件に合う物件が見つからず、結局、店舗の広さの関係でテイクアウト専門にすることにしました」 今までとは違う業態になるので不安もあったが、チャレンジすることを決意。しかしなんと、店舗の賃貸契約書にサインした翌日にコロナ禍によるロックダウンが発表された。 いきなり出鼻をくじかれた形になったが、2020年5月には新たな場所でオープンを果たし、店名も従来の「Pani Onigiri」(パニ・オニギリ)から 「Niigata Onigiri」(ニイガタ・オニギリ)に変更した。 「ワルシャワでニイガタ?」と不思議な気もするが、カシャさんはその理由を次のように説明する。 「新潟といえば日本でも有数の米どころ。私自身も実際に新潟に行って田植えも経験しましたし、おにぎり修業でお世話になった『ぼんご』の経営者・右近さんの出身地も新潟。新潟は私にとって特別な場所なのです」 ● おにぎりは コロナ禍でも大人気 飲食店はコロナ禍でもっとも大きな打撃を受けた業界の一つといえるだろう。ポーランドでは2020年3月にロックダウンが施行されて以降、一度に店舗に入店できる人数が制限されたり、イートインの営業が禁止に。規制が一部緩和された時期もあったが、2021年2月1日現在も、飲食店はテイクアウトかデリバリーのみの営業に制限されている。 Niigata Onigiriはもともとテイクアウト専門として営業する予定だったので、カシャさん自身はコロナ禍でもそれほどストレスは感じなかったという。 「ポーランドではおにぎり専門店が珍しいこともあり、有名ブロガーなどがこぞって取り上げてくれたんです。その効果もあって、リニューアルオープン以来、売り上げは好調です」 現在は常時15種類のおにぎりを用意。1日約200~300個を売り上げる。