三木谷オーナーが「魔術師」と絶賛もスタンドは空席目立つ。ACL初陣神戸の爆勝を演出したイニエスタは何を思ったか?
リーグ戦とは異なる光景に、イニエスタ自身も寂しい思いを募らせていたのか。初めて臨むACLを勝ち抜いていくためにも、昨夏から右肩上がりに転じた成長曲線をさらに加速させると力を込めた。 「ファンやサポーターがもっと、もっと応援に来てくれるようなサッカーができれば。これからもみなさんの力を借りていくために、チームとしていい試合をしていかないといけない」 敵地に乗り込む19日の水原三星ブルーウィングス(韓国)とのグループリーグ第2戦。そして、ホームに昇格組の横浜FCを迎える23日のJ1開幕戦へ。モチベーションを高めるイニエスタへ、小川は頼もしげな視線を送りながらこんな言葉を残している。 「この2試合、戦っているだけではなく決定的な仕事もしている。コンディションがすごくいいと思いますけど、シーズンは始まったばかりなので、もっと上がっていくんじゃないかな、と」 神業に映るパスを連発し、味方のゴールを導いているいま現在が100%ではないとすれば――心身ともに充実している2020シーズンのイニエスタは、三木谷オーナーをして「魔術師」と言わしめたスーパープレーを、まだまだ引き出しのなかにしのばせている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)