アギーレ後任選びのプロセスは間違っていないか?
アギーレ解任後の後任監督問題で、次期監督候補の名前が、日欧のメディアの中で挙がっては消え、挙がっては消えが繰り返されている。 前イタリア代表監督のチューザレ・ブランデッリ、インテルの監督だったワルテル・マッツァーリ、元イングランド代表監督のグレン・ホドル、チェルシー、ローマなどトップクラブで監督をしたクラウディオ・ラニエリらが、「打診を受けたが断った」と、海外メディアが報じて、日本のメディアも追随した。 原専務理事は「声をかけてもいない人が断ったと言うし、情報戦になっている」と、その中に売名行為が含まれていることを示唆したが、そもそも、次期監督選定について何も積極的に情報を発信していない。取材を受ける中で、次期監督像については、W杯、チャンピオンズリーグの監督経験者、育成世代も含め決定力を植え付けられる、などというガイドラインは示されたが、どういうサッカーを標榜する人を求めているかというビジョンは明らかにされていない。 元日本代表FWの城彰二さんが、WEBサイトのアスリートジャーナルで、こんな問題提起をされている。 「これまでも名前ありきの監督選びで失敗をしたのではないか。 私は何度も提言しているが、ブラジルのワールドカップで日本の何が通用して何が通用しなかったのか。どこに問題があったのかという総括、分析が、しっかりと行われないまま、次の監督を決めた。 まして4年後、8年後、12年後に日本サッカーがどういうスタイルのサッカーを求めて、どこへ向かいたいのかも示されていない。まずは、日本がロシアのワールドカップへ向けて目指すサッカースタイルをハッキリと固めて、そのサッカースタイルを戦術、戦力として持っている監督を選定する作業に入るべきだ。 先に名前と実績だけで監督を求めて、後は、その人に丸投げという手法は順序が間違っていると思う。ザックやアギーレと同じ失敗を繰り返す危険性もある」 現在、有力候補の一人と報道されているルチアーノ・スパレッティは、ローマの監督時代にトッティを3トップの真ん中におき、センターFWをおかない「ゼロトップ・システム」を用いた戦術家として知られている。ベネチアの監督時代には、チームに名波浩がいた。 またもう一人候補として名前の挙がっているデンマークの英雄、ミカエル・ラウドルップは、神戸でプレーした経験があるため日本人のメンタリティもわかっているだろうが、その戦術は「4-2-3-1」フォーメーションを採用、細かいショートパスを多用してボールポゼッションを高めることで、ゲームを支配するサッカーで、ザックジャパンが目指した方向性と同じだ。彼らが本当の最終候補であるかどうかの信憑性も危ういが、そこに求める監督像には一貫性がない。