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九州水害で露わになった民主党政権「ダム建設中止」の大きすぎる代償

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現代ビジネス

川辺川ダムの教訓

 熊本県をはじめ、日本各地で多数の方が水害に見舞われている。亡くなられた方には心よりお悔やみ申し上げたい。 【写真】安倍よ、ただで済むと思うな…菅官房長官「最後の逆襲」が始まった  この水害で思い出されるのは、川辺川ダムの建設中止だ。2009年8月30日に衆議院議員選挙があり、民主党が大勝、政権交代が成った。民主党の公約の中に「コンクリートから人へ」というものがあり、そのシンボルだったのが「東の八ッ場ダム、西の川辺川ダムの中止」だった。  その当時、マスコミは民主党への政権交代という熱気の中で、八ッ場ダム・川辺川ダムの建設中止に異を唱える向きはなく、大賛成の大合唱だった。テレビのコメンテータとして出演している人までも賛成一色だった。  筆者は、実は2001~2003年まで国交省の課長を務めている。その間、公共事業の適切な執行について、先進国で長期調査をした。そのときの結論は、ほぼすべての先進国で、公共事業は基本的にコストベネフィット分析に依拠しており、政治とは一定の距離を置いて、客観的な判断によって遂行されることが多いというものだ。もちろん、政治的な決定が皆無とは言わないが、それは例外だ。  そうした立場から見ると、八ッ場ダム・川辺川ダムの建設中止には、どうしても合点がいかなかったので、『日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)』(光文社、2010年5月)の他、建設中止の非合理性をいくつかの論考で書いた。  そのとき用いたフレームワークは、サンク・コスト論だ。そもそも論として、ある事業について、中止するのがいいのか、継続するのがいいのかを意思決定する際、この経済学のサンク・コスト概念が役に立つ。  投下した資本のうち、事業の撤退や縮小を行っても回収できない費用のことをサンク・コスト(sunk cost=埋没費用)という。どれだけそれまでにコストをかけたかを気にしても仕方ない。その後にかけるコストと得られる便益を対比させ、その後のコストが大きければ中止、便益が大きければ継続となる。

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