所得税・住民税から「合計4万円」の定額減税、食品・光熱費の値上げ…6月から変わる「お金」にまつわることは? 専門家が解説
◆和食に欠かせない「海苔」も値上げ
吉田:では、光熱費だけでなく、食品などの値上げはいかがでしょうか? 塚越:食品も値上げです。カルビーは「ポテトチップス」「じゃがりこ」「かっぱえびせん」など、合わせて68品を来月以降3~10%程度引き上げます。明治は「アポロ」といったチョコレートやグミ。ハウス食品も「とんがりコーン」など6品とマスタード等を値上げ。まるか食品は「ペヤング ソースやきそば」をはじめ即席麺13品を5年ぶりに値上げ。 また、和食には欠かせない「海苔」が2年連続の不作ということで、主要メーカーが家庭向け商品で1~2割ほど値上げするとのことです。
◆病院の初診料は20年ぶりに引き上げ
ユージ:他に6月から家計の負担になる変化はありますか? 塚越:見えづらいところでいうと、以前番組で取り上げた、森林整備などを目的とする「森林環境税」の徴収が始まります。住民税の納税者1人につき「年間で」1,000円が上乗せになります。 病院や診療所の「初診再診料」や「入院基本料」も6月から引き上げになります。初診料の引き上げは20年ぶりとのことです。目的は賃金水準の低い医療従事者の待遇改善と人手不足の緩和が狙いということですが、3割負担の患者だと初診の支払いが最大で219円増えます。再診料も、3割負担の窓口では最大で36円アップ。入院基本料も種類にもよりますが、3割負担の場合、1日あたり最大で312円上がります。 さらに年金です。4月と5月分が6月14日(金)に振り込まれますが、物価上昇に伴って支給額は2.7%アップしますが、これは現実の物価や賃金の上昇よりも低く設定されているので、実質的には目減りということになります。
◆実質賃金は24ヵ月連続で減少 定額減税は「焼け石に水」?
ユージ:これだけさまざまな値上げの話を聞くと、“定額減税”の効果があまり感じられなさそうですね。 塚越:いま一番の問題は、日本の実質賃金の減少です。今年の3月も下がっており、3月時点で24ヵ月連続下がっていることです。 ユージ:もう2年になりますね。 塚越:そうなんです。額としては上がっていますが、物価と比較して考えると、実質的に目減りになっています。インフレや物価の資材高騰など、さまざまな要因で商品やサービスの値段が上がっているので、これではなかなか定額減税の恩恵を感じられません。 問題が山積みな一方で「成長の果実を国民に還元する」と岸田文雄首相は言っていますが、だったら日本をどういう国にするのか、そういうビジョンを見せるというところからまず始めていくことが重要です。とにかく、我々は生活が厳しいですよね。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年5月30日(木)放送より)