FLOW「これからもきっと変わらない」“炎の12ヶ月vol.2 GAME”で得た確信:レポート
5人組ロックバンドのFLOWが10月26日、配信ライブ『FLOW SPECIAL ONLINE LIVE「全アルバム網羅 炎の12ヶ月vol.2 GAME」』を開催した。毎月26日に各アルバムのコンセプトに合わせた配信でしかできないライブで、Vol.2は2004年にリリースされたメジャーデビューアルバム「GAME」は、「ブラスター」、「ドリームエクスプレス」、ライブでも定番の「GO!!!」などFLOW初期の代表作が詰まっているアルバム。新曲の「衝動」を含む全14曲を披露したライブの模様を以下にレポートする。【村上順一】 ■カジノをイメージした会場でのパフォーマンス KEIGO(Vo)の「楽しんで行こうぜ!」の気合の入った言葉から「ブラスター」でライブはスタート。KOHSHI(Vo)は「飛び跳ねろ!」と画面の向こう側のリスナーを煽り、楽器隊3人の疾走感あふれるサウンドは臨場感あふれるライブならではのエネルギーを放っていた。立て続けにKOHSHIとKEIGOのコンビネーションが冴え渡った「MC2=E」へ。序盤からロックナンバーでガッチリとリスナーの心を掴んでいく。 この日最初のMCでは、今回ライブを届けたステージを解説。メジャー1stフルアルバム「GAME」の世界観でもあったカジノをイメージしたということで、目の前にはルーレット台を設置したという。そんなアルバムとリンクしたステージセットでライブは再開され「Surprise」へ突入。サビでの<HEY BOY!><HEY GIRL!>のコール部分は、リスナーも画面の向こう側で歌っている姿がイメージ出来る。 異質な雰囲気さえも感じさせた「集中治療室 -I.C.U.-」は、FLOWのミクスチャー音楽としてのスキルの高さがわかる1曲だ。エッジの効いたTAKEのギターと、怒りをぶつけたかのようなサビは胸を熱くさせてくれる。そして、「シャリララ」へ。KOHSHIはギターを手に取り、バンドサウンドに広がりを与え、サビでは突き抜けるような伸びやかな歌声を聴かせてくれた。 ここでリスナー参加のルーレットゲームを行うことに。KEIGOとKOHSHIが回すルーレットにリスナーがナンバーを予想。Twitterでハッシュタグをつけてそれぞれが思う数字をベットするというもの。見事に数字を当てた人にはサイン入りTシャツが3名に当たるというもの。「年末のビンゴ大会みたいだね(笑)」と、ほのぼのとした空気感の中、ドキドキした時間を提供した。 ライブは中盤戦へ。「太陽」、「ノスタルジア」とFLOWの音楽性の幅を感じさせる2曲を披露。GOT’S(Ba)のメロディアスなベースラインに、ディレイを使用したウェットなギターサウンド、ツインボーカルのハーモニーと聴かせるナンバーでリスナーを扇情させる。「ノスタルジア」エンディングでの<ラララ>のコーラスでは、見ることはできないが確実に目の前に存在しているリスナーの声が聞こえてきそうな瞬間だった。演奏終了後に海外公演での「ノスタルジア」の模様が流れ「We are connected no matter how far away by our music.」のメッセージが投影された。 そのメッセージに導かれるように「流星」へと流れた。KOHSHIとKEIGOは、過去のライブ写真をバックに熱い歌声を披露。<どんなに遠く離れていても僕らは繋がっている>という歌詞が、コロナ禍で会えないファンへの心をグッと惹き寄せるかのように響かせた。 MCではアニメ『シャドウバース』オープニングテーマの「新世界」が2021年1月13日にシングルとしてリリースすることを発表し、ライブは後半戦へ。 ■これからもきっと変わらない 届けたのは「その先には・・・」。IWASAKI(Dr)のタイトなビートに乗ってバンドのテンションもさらにヒートアップしていくなか、踏んだアクセルを緩めることなく、メロコアナンバーの「Without you」、そして、夢に向かって前進することを後押ししてくれる力強いメッセージを放つ、キャッチーなアップチューン「ドリームエクスプレス」と、身体を揺さぶるナンバーで盛り上げ、ライブバンドとしての真骨頂とも言えるパフォーマンスを見せてくれた。 KEIGOは「離れているけど心は一つですよ」とリスナーに向け投げかけ、ライブ定番の「GO!!!」を投下。メンバーも所狭しと自由にパフォーマンス。間奏では過去のライブ映像でオーディエンスがウェーブを巻き起こすシーンが挿入される演出も。そして、サビの<Fighting Dremers>のコールをリスナーに呼びかけると、KOHSHIは「声が聞こえてきたかも」と笑顔を見せていたのが印象的だった。 KEIGOは「今だからこそやれる形のライブは必ずあると思っています。僕らはライブの形を模索しながら、みんなと作っているライブだと思いました。みんなとライブを作れることがバンドをやっていて幸せです」と思いを語った。 さらに続けて「バンドの根本的なところは変わってないです。これからもきっと変わらない」と、過去に作った曲たちを改めて演奏して気づいたことを述べ、音楽で繋がっていることの喜びを噛み締め、アルバムのラストを飾るミディアムナンバー「Hands」を歌唱。「かけがえのない今を 共に歩き出そう...」という歌詞が、コロナ禍ということもあり、また特別なものとして強く響き渡った。 ラストはこの12カ月連続ライブで完成させていくという新曲を披露することに。前回披露した時にはまだタイトルがなかったが、今回は暫定的に「衝動」というタイトルがついたこと、そして、歌詞も少し変わったことを明かした。今の自分たちの思いが詰まった楽曲だと思いを話し「衝動」をパフォーマンス。FLOWらしさが詰まったハードナンバーで、<ピンチはチャンス>や<災い転じて福となす>など、このコロナ禍への気概とも言える力強い歌詞が印象的に響く。この先、どのように楽曲は進化していくのか、生で体感できる日が待ち遠しいと思えた1曲でライブを締めくくった。 最後に、2021年1月16日にLINE CUBE SHIBUYAで約11カ月ぶりの有観客ワンマンライブ『FLOW THE CARNIVAL 2021~新世界~』の開催を発表し、期待感で満たされるなか『全アルバム網羅 炎の12ヶ月vol.2 GAME』の幕は閉じた。 約16年前の楽曲たちだが、どの曲も完成度は高くFLOWのブレない音楽性が伝わってきた。それを現在進行形の5人が奏でることにより、しっかりと時代とシンクロしたものへと昇華している。まだまだ『全アルバム網羅 炎の12ヶ月』は始まったばかり。またどんなライブを見せてくれるのか期待したい。 ■セットリスト 10月26日@『全アルバム網羅 炎の12ヶ月vol.2 GAME』 01.ブラスター 02.MC2=E 03.Surprise 04.集中治療室 -I.C.U.- 05.シャリララ 06.太陽 07.ノスタルジア 08.流星 09.その先には・・・ 10.Without you 11.ドリームエクスプレス 12.GO!!! 13.Hands 14.衝動