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庶民の味方に(8月28日)

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福島民報

 お殿様が遠乗りに出掛けると嗅いだことのない、おいしそうな匂いが漂ってくる。町民が焼いたサンマを初めて食べ、とりこになる。落語「目黒のサンマ」の名場面だ。下々の味方のうまさを見事に表現している。  昭和天皇にも、この魚にちなんだ逸話が残る。草柳大蔵さんの著書「昭和天皇と秋刀魚[さんま]」(中央公論社刊)によると、当時、御殿内では白身の魚しか食べなかった。侍女が、幼少から何でも食べられたほうがよいと、当時の裕仁親王に「あきがたなと申す魚です」と食膳に出した。脂の乗った味に舌鼓を打ったという。  食べ方の一番人気は、やはり塩焼きだろうか。香ばしさがたまらない。はらわたも美味で、左党には最高のつまみになる。刺し身や、その身をみそやネギとたたく「なめろう」、それをハンバーグのように焼いたポーポー焼き…。いわきを代表する郷土料理として愛されてきた。  昔から安く、庶民の味方だった。ここ数年は不漁の影響で高値が続く。今年も小名浜港から集魚灯を積んだ漁船が出港し北海道沖に集結した。徐々に南下し、十月には本県沖が漁場となる。値段と相談しながらだが、今年こそ、食卓に上がる機会が増えてほしい。

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