ピレリの18インチF1タイヤの出来は上々? より堅牢な構造になり、推奨内圧も低下へ
F1の2021年シーズン最終戦アブダビGPの直後、開催地であるヤス・マリーナ・サーキットでポストシーズンテストが行なわれた。このテストではF1参戦経験のない若手ドライバーが走ると共に、各チームが旧型車を改造した”18インチホイール”対応のミュールカーを準備。現役ドライバーが来季から投入される予定の新しいサイズのタイヤを試した。なお予算の関係上、ウイリアムズだけはミュールカーを用意しなかったため、当該テストを行なわなかった。 【ギャラリー】東京に轟音が響き渡る! Red Bull Race Dayで3台の最高峰マシンがデモラン このテストに持ち込まれた18インチホイール用タイヤは、ほぼ最終仕様のモノであり、C1~C5の5種類のコンパウンドも準備された。2022年シーズンはマシンに関するテクニカルレギュレーションが大きく変わることになるため、いかにミュールカーと言えど、これまでのデータと比較するのは無意味だと言えるかもしれない。しかし、チームとドライバーにとっては、間違いなく重要なセッションだったはずだ。 「彼らは全ての新しいコンパウンドを使うことができ、多くの周回数をこなした。またアタックランでも、ロングランでも、全ての新しいコンパウンドを使うことができた」 ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラはそう語った。 「我々は初めて、コンパウンド間のタイム差を見ることができた」 「この数値は、タイヤ開発テストでの調査結果と完全に一致していると言える。C1とC2は明らかにアブダビには適したコンパウンドではなく、主にC3~C5を使う、タイヤへの負荷が低いサーキットなのだ」 「従って、C1とC2についてはグリップが低いというコメントが寄せられた。でも、非常に一貫性があった」 「全てのドライバーから寄せられたコメントは、アンダーステアに関するモノが多かったと思う。リヤタイヤのグリップの方がはるかに強いようだ。つまり基本的には、フィードバックはアンダーステアのバランスに関するモノだった」 「ただ、ミュールカーのセットアップを調整することができる範囲は、限られていたことを考えて欲しい。もしチームがマシンのセットアップに取り組んでいたとしても、リヤタイヤが強いために、マシンはアンダーステア傾向になってしまう」 しかしイゾラは、2022年用マシンが登場すれば、アンダーステアの問題は少なくなると確信していると語る。 「チームは新しいマシンならば、非常に簡単にバランスを取ることができるだろうと信じている。彼らはアンダーステアについては、全く心配していないと私に言ったんだ。彼らはそれを新車で期待しているようだ」 テスト初日が終わった後、このアンダーステアを解消するため、チームにパラメータの変更を提案したとイゾラは言う。 「チームから得られたデータを見ると、内圧、特にフロントタイヤの内圧に余裕が見られた」 そうイゾラは明かす。 「そのため我々は、2日目にフロントタイヤの内圧を1.5psi下げられる可能性があると言ったんだ。このことは明らかに、アンダーステアを解消するのに役立つ。そしてフロントの接地面積を増やし、さらにC3タイヤのグレイニングを減らすことになった」 「C4とC5にはまだ多少グレイニングなどが出ていたが、これらのタイヤは特にソフトなコンパウンドであるため、理に適っている。しかし内圧を低下させたことで、C3がうまく機能していた」 当初テストでは、フロントタイヤの内圧は21.5psiとされていたが、20.0psiに引き下げられた。一方でリヤタイヤは17.5psiである。この数値は、今年のアブダビGPで規定されていたフロントタイヤ23.0psi、リヤタイヤ21.0psiと比べると、かなり低いモノだった。 「18インチ用タイヤの新しいサイドウォールにより、リヤタイヤの構造は、より強固なモノになっていることを理解している」 そうイゾラは語った。 「そしてこれが、内圧を17.5psiに下げることができた理由だ。13インチのタイヤと比較してもかなり低い」
Adam Cooper