「まだ死ねない」知的障害児を育てる桜井奈々「トキシックショック症候群」で生死をさまよった日々とブログで発信し続ける訳
搬送時、家族には電話で先生が「3日間が峠です」と言ったほど深刻な病だったんです。5千万人に数人と言われる珍しい病で、病院の先生も一生のなかで診ることがあるかないかだそう。この病は女性の場合、生理用品が原因となる場合が多いそうですが、私は違ったと思います。決定的な原因は不明でした。 私はとにかく家のことが心配で何とか早く退院したくて、早くよくなるために毎日、体中の細胞に「よくなれ!よくなれ!」と自分で指令を出してみたり(笑)。それが功を奏したのかはわかりませんが、当初2週間と言われていたところ、なんとか9日で退院できました。
── 本当にご無事で何よりでしたね。 桜井さん:おかげさまで、いまは体調も戻りました。もう、気をつけようがないんですけど睡眠時間がたりていない生活を見直したり、しっかり栄養のあるものを食べて、ときには甘いものを食べてストレス解消させるようにしようとしているところです。子どもたちも救急車の音に敏感になって。怖い思いをさせてしまったなと。2か月の間に数回、救急車に乗ってしまったので。それでなくても、息子に「お母さん、死んじゃうの?」って心配させたこともあって。
── 何があったのですか? 桜井さん:先ほども少し話しましたが、私たち夫婦は、親が亡き後の娘のことについてが最大の課題です。「私たちが死んだら…」と話題にしているのを息子に聞かれてしまい、しまったなと。「息子の前で話すときは気をつけないといけないね」と夫婦で反省しました。 ── 親としてご心配がたくさんあるなか、いろいろと難しいところがありそうですね。 桜井さん:情熱を傾けてもどうにもならないことはならないと娘に学ぶこともあります。娘にはいろんなこだわりがあり、本人が心のシャッターを閉めていることに関しては、こじ開けて入っても通じない(笑)。本人のタイミングを待たないといけない。病院で出会った女医さんの言葉が印象的だったんですが「自閉症のこだわりは理論とかではない、つき合うしかない。社会に迷惑をかけない範囲、命に危険が及ばないこと以外はつき合うしかない」と。