飲料大手、ECを強化 市場規模2000億円突破の勢い お茶・水・炭酸水のラベルレス商品がトレンド 背景に増加する家飲み需要
飲料大手各社はラベスレス商品を中心にECチャネルへのアプローチを強めている。 新型コロナウィルスの影響で家飲み需要が増加したことが背景。 “家庭でいつも飲む飲料を手軽に安くまとめ買いしたい”ニーズの高まりにより、お茶・水・炭酸水のコモデティのカテゴリーがECで販売される飲料全体の半分程度を占める。 容量では小型のパーソナルサイズが大型以上に伸長しており、各社とも引き続き小型に注力の構え。 この中でラベルレス商品は、飲み終わった際にはがす手間が省けるほか、プラスチック使用量削減につながることからエシカル消費やSDGsの機運の高まりを追い風に拡大している。
ラベルレス商品の販売チャネルはECと一部の小売業態。ラベルに記載している原材料名などの一括表示を外装の段ボール(ケース)に記載する必要があるためケース単位で販売されている。 今年3月に省令の一部が改正されたことで、ケースに収められている個別容器に従来貼り付けていたリサイクルマークなどを記載したタックシールが不要となったことで完全ラベルレス化が実現。 これを機に、4月から初のラベルレス商品として「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」を発売してEC市場に本腰を入れたのはコカ・コーラシステム。 8月には「綾鷹」、「カナダドライ ザ・タンサン・ストロング」、「爽健美茶」のラベルレス商品を追加した。 日本コカ・コーラの調べによると、国内飲料のEC市場は14年から年平均成長率10%で伸長し、19年市場規模は約1千600億円と推定。今年1-6月は家庭内需要の増加を追い風に前年同期比30%以上伸長したとみている。 この中で、コカ・コーラシステムの販売実績は「い・ろ・は・す 天然水ラベルレス」やトクホ商品が寄与して1-6月に市場の伸びを上回る46%増を記録。同期間、「い・ろ・は・す」ブランドのEC出荷数量は69%増を記録し「期間をラベルレス発売後の4月からにするとほぼ倍増になった」(日本コカ・コーラ)という。 国内飲料のEC市場規模は今年2000億円を突破する見通し。 日本コカ・コーラでは、新しい生活様式やテレワークが普及していくことで今後も30%以上の成長が続くとみており、この中でコカ・コーラ社商品については「来年に関しては昨年と比較して2倍以上(の出荷)を目標としている」と意欲をのぞかせる。