古河機械金属、23年3月で小名浜製錬との委託製錬契約終了。三菱マテに全持分譲渡
古河機械金属は12日、古河メタルリソースと委託製錬先である小名浜製錬との間で締結している委託製錬契約を2023年3月末で終了すると発表した。古河メタルリソースが保有する小名浜製錬の全株式(12・665%)は小名浜製錬株式の過半を有する三菱マテリアルに譲渡する。譲渡額は非公表。銅鉱石の買鉱条件の悪化傾向などに伴う採算悪化を受け、不採算の銅地金および硫酸の輸出を削減するために段階的な減産を行ってきたが、さらなる抜本的な取り組みが必要と判断した。小名浜製錬への委託生産量は同社の年間銅生産量の約34%(約2万4千トン)に相当する。 小名浜製錬との委託製錬契約終了に伴い、23年度の古河メタルリソースの銅生産量は約4万6千トンとなる見込みで、委託製錬先は同社の持分法適用会社である日比共同製錬のみとなる。ただ、同社の銅地金の国内販売量は約4万トンのため、不採算である輸出を大幅に削減することとなり、金属部門の重点課題である委託製錬事業の抜本的な見直しにめどが立ち、委託損益の採算確保が可能と見ている。 また、24年3月期への影響については銅価トン9400ドル、為替1ドル=120円で試算した場合、売上高は23年3月期予想に対し約400億円の減収となるが、不採算である輸出の減少、委託損益の採算改善を見込み、営業利益は約4億円の増益になると見ている。 同社は、国際市況動向や買鉱条件の影響を受け、収益の変動が大きい委託製錬事業の抜本的な見直しを検討していた。特に近年は買鉱条件収入が製錬会社側に不利な状態が継続する一方、環境対策投資や老朽化設備の維持更新投資などの負担の増加やエネルギーコストの高騰などで採算が厳しい状態が継続していた。 同社の委託製錬契約終了に伴い、小名浜製錬の出資比率は三菱マテリアルが68・379%、DOWAメタルマインが31・621%となる。