甲子園の150キロ超え投手はプロで成功するのか?
かつてヤクルトの伝説のスカウトとして多くの選手を発掘した片岡宏雄氏は、甲子園の150キロ投手の魅力について、こう語る。 「高校生で150キロを超えるストレートを投げる投手というのは、そういない。しかも、甲子園まで勝ち上がってくるということは、制球力や投球術も、そこそこあるということ。甲子園は、特別な力の出るところだが、ここで何試合も150キロを出せるなら、それは地力の証明でもある。150キロにプラス、投げっぷりや、球離れのよさ、バランス感覚を合わせ持っているかどうかだが、過去の1位指名で結果を残しているピッチャーには、そういうものが備わっていた。150キロをここで投げるピッチャーは、高い確率で成功の可能性はあるが、逆に関節、筋肉も含めて体が固いとか、体や肘の使い方が下手で、制球が極端に悪いような選手は、150キロを投げても失敗するリスクがある。巨人が獲得した辻内は、故障に泣いたが、そういう危険性が見えていたピッチャーだった。北方も制球にかなりの難があった」 片岡氏は入ったチームの環境や本人の性格も成否に関係するという。 「せっかくの素材が監督、コーチに潰されるケースもある。2000年に立命大からドラフト1位で平本学という150キロを超える速球を持ったピッチャーを入れたが、ピッチングコーチが、そのコントロールの悪さにあきれて、『使えない』と烙印を押してしまった。また選手側にもコーチの指導を取捨選択できるような自分で考える頭のスマートさが必要になってくる」 では、片岡氏には、151キロを出した小笠原は、どう映ったのか。 「プレートさばきがいいしバランスがいい。三振にとったスライダーもビシッと落とした。今日のような1イニングなら、すぐにプロの1軍マウンドで通用するんじゃないか。プロでエースに育つ可能性を持った逸材。間違いなく1位で複数球団が競合するだろうな」 注目の左腕は、いよいよ15日の遊学館戦には先発発進する。